分散した非上場株式の集約⑩-相続時売渡請求の手続きについて、相続人の遺産分割協議の成立を待つ必要があると考えていないか?

Q株式が分散しており、少数株主(個人)からの株式集約を考えています。この度、買取対象の株主に相続が発生したため、遺産分割協議の成立後に株式取得者に対して売渡請求を行うつもりでいました。しかし、相続人が遺産分割で争っており、相続税の申告期限までに協議が成立しない状況だと聞きました。請求期限である「会社が知った日から1年を経過する日」が近づいています。株式取得者が特定していない状況ですが、誰に対して売渡請求手続きを行えばよいでしょうか?

A相続人全員に対して売渡請求を行います。

解説
相続人が複数である場合は、会社は遺産分割協議が行われるまでの間は共同相続人の全員を相続人して扱い、売渡請求の手続きを進めることになります(平成18年12月19日東京地裁判決資料版商事法務285号154頁)。売渡請求期間の起算日は会社が株主の相続を知った日であり、その日から1年以内に売渡請求をする必要があることを考えると、相続人側の事情を考慮する必要はありません(会社法第176条第1項)。もちろん。売渡請求時に遺産分割協議が成立しているのであれば、確定した分割に基づいて株式を取得した者に売渡請求を行うことになります。

会社法第175条(売渡しの請求の決定)
株式会社は、前条の規定による定款の定めがある場合において、次条第一項の規定による請求をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 次条第一項の規定による請求をする株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
二 前号の株式を有する者の氏名又は名称
2 前項第二号の者は、同項の株主総会において議決権を行使することができない。ただし、同号の者以外の株主の全部が当該株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。
会社法第176条(売渡しの請求)
株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を定めたときは、同項第二号の者に対し、同項第一号の株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。ただし、当該株式会社が相続その他の一般承継があったことを知った日から一年を経過したときは、この限りでない。
2 前項の規定による請求は、その請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
3 株式会社は、いつでも、第一項の規定による請求を撤回することができる。
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