組織再編税制㉑-適格合併における共同事業要件とみなし共同事業要件の違いにつき、見逃していることはないか?
Q適格合併における共同事業要件とみなし共同事業要件の違いを教えてくれますか?
Aみなし共同事業要件には、従業者引継要件、事業継続要件、支配継続要件はありません。事業関連性要件、事業規模要件、特定役員従事要件は同様ですが、事業規模継続要件、特定役員継続要件が追加されます。
解説
適格合併として共同事業要件を充足することは、他社を買収した後であれば容易に操作可能です。ここで、繰越欠損金の引継ぎ要件として、一部追加要件を課したのがみなし共同事業要件です。事業規模要件に追加して事業規模継続要件、特定役員引継要件が課されます。
法人税法施行令第4条の3第4項(適格組織再編成における株式の保有関係等)
4 法第二条第十二号の八ハに規定する政令で定めるものは、同号イ又はロに該当する合併以外の合併(無対価合併にあつては、第二項第二号ロに掲げる関係があるもの又は当該無対価合併に係る被合併法人の全て若しくは合併法人が資本若しくは出資を有しない法人であるものに限る。)のうち、次に掲げる要件(当該合併の直前に当該合併に係る被合併法人の全てについて他の者との間に当該他の者による支配関係がない場合又は当該合併に係る合併法人が資本若しくは出資を有しない法人である場合には、第一号から第四号までに掲げる要件)の全てに該当するものとする。
一 合併に係る被合併法人の被合併事業(当該被合併法人の当該合併前に行う主要な事業のうちのいずれかの事業をいう。以下この項において同じ。)と当該合併に係る合併法人の合併事業(当該合併法人の当該合併前に行う事業のうちのいずれかの事業をいい、当該合併が新設合併である場合にあつては、他の被合併法人の被合併事業をいう。次号及び第四号において同じ。)とが相互に関連するものであること。
二 合併に係る被合併法人の被合併事業と当該合併に係る合併法人の合併事業(当該被合併事業と関連する事業に限る。)のそれぞれの売上金額、当該被合併事業と合併事業のそれぞれの従業者の数、当該被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)のそれぞれの資本金の額若しくは出資金の額若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね五倍を超えないこと又は当該合併前の当該被合併法人の特定役員(社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいう。以下この条において同じ。)のいずれかと当該合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、他の被合併法人)の特定役員のいずれかとが当該合併後に当該合併に係る合併法人の特定役員となることが見込まれていること。
三 合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該合併後に行われる適格合併により当該被合併法人の被合併事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。
四 合併に係る被合併法人の被合併事業(当該合併に係る合併法人の合併事業と関連する事業に限る。)が当該合併後に当該合併に係る合併法人(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該合併後に行われる適格合併により当該被合併事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。
五 合併により交付される当該合併に係る合併法人又は法第二条第十二号の八に規定する合併親法人のうちいずれか一の法人の株式(議決権のないものを除く。)であつて支配株主(当該合併の直前に当該合併に係る被合併法人と他の者との間に当該他の者による支配関係がある場合における当該他の者及び当該他の者による支配関係があるもの(当該合併に係る合併法人を除く。)をいう。以下この号において同じ。)に交付されるもの(当該合併が無対価合併である場合にあつては、支配株主が当該合併の直後に保有する当該合併に係る合併法人の株式の数に支配株主が当該合併の直後に保有する当該合併に係る合併法人の株式の帳簿価額として財務省令で定める金額のうちに支配株主が当該合併の直前に保有していた当該合併に係る被合併法人の株式の帳簿価額の占める割合を乗じて計算した数の当該合併に係る合併法人の株式。以下この号において「対価株式」という。)の全部が支配株主(当該合併後に行われる適格合併により当該対価株式が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合には、当該適格合併に係る合併法人を含む。以下この号において同じ。)により継続して保有されることが見込まれていること(当該合併後に当該いずれか一の法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該合併の時から当該適格合併の直前の時まで当該対価株式の全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていること。)。
法人税法施行令第112条第3項(適格合併等による欠損金の引継ぎ等)
3 法第五十七条第三項に規定する政令で定めるものは、適格合併のうち、第一号から第四号までに掲げる要件又は第一号及び第五号に掲げる要件に該当するものとする。
一 適格合併に係る被合併法人の被合併事業(当該被合併法人の当該適格合併の前に行う主要な事業のうちのいずれかの事業をいう。以下第三号までにおいて同じ。)と当該適格合併に係る合併法人(当該合併法人が当該適格合併により設立された法人である場合にあつては、当該適格合併に係る他の被合併法人。以下この項において同じ。)の合併事業(当該合併法人の当該適格合併の前に行う事業(当該合併法人が当該適格合併により設立された法人である場合にあつては、当該適格合併に係る他の被合併法人の被合併事業)のうちのいずれかの事業をいう。次号及び第四号において同じ。)とが相互に関連するものであること。
二 被合併事業と合併事業(当該被合併事業と関連する事業に限る。以下この号及び第四号において同じ。)のそれぞれの売上金額、当該被合併事業と当該合併事業のそれぞれの従業者の数、適格合併に係る被合併法人と合併法人のそれぞれの資本金の額若しくは出資金の額又はこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね五倍を超えないこと。
三 被合併事業が当該適格合併に係る被合併法人と合併法人との間に最後に支配関係があることとなつた時(当該被合併法人がその時から当該適格合併の直前の時までの間に当該被合併法人を合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(次号において「合併法人等」という。)とする適格合併、適格分割又は適格現物出資(以下この号及び次号において「適格合併等」という。)により被合併事業の全部又は一部の移転を受けている場合には、当該適格合併等の時。以下この号において「被合併法人支配関係発生時」という。)から当該適格合併の直前の時まで継続して行われており、かつ、当該被合併法人支配関係発生時と当該適格合併の直前の時における当該被合併事業の規模(前号に規定する規模の割合の計算の基礎とした指標に係るものに限る。)の割合がおおむね二倍を超えないこと。
四 合併事業が当該適格合併に係る合併法人と被合併法人との間に最後に支配関係があることとなつた時(当該合併法人がその時から当該適格合併の直前の時までの間に当該合併法人を合併法人等とする適格合併等により合併事業の全部又は一部の移転を受けている場合には、当該適格合併等の時。以下この号において「合併法人支配関係発生時」という。)から当該適格合併の直前の時まで継続して行われており、かつ、当該合併法人支配関係発生時と当該適格合併の直前の時における当該合併事業の規模(第二号に規定する規模の割合の計算の基礎とした指標に係るものに限る。)の割合がおおむね二倍を超えないこと。
五 適格合併に係る被合併法人の当該適格合併の前における特定役員(社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいう。以下この号において同じ。)である者のいずれかの者(当該被合併法人が当該適格合併に係る合併法人と最後に支配関係があることとなつた日前(当該支配関係が当該被合併法人となる法人又は当該合併法人となる法人の設立により生じたものである場合には、同日。以下この号において同じ。)において当該被合併法人の役員又は当該これらに準ずる者(同日において当該被合併法人の経営に従事していた者に限る。)であつた者に限る。)と当該合併法人の当該適格合併の前における特定役員である者のいずれかの者(当該最後に支配関係があることとなつた日前において当該合併法人の役員又は当該これらに準ずる者(同日において当該合併法人の経営に従事していた者に限る。)であつた者に限る。)とが当該適格合併の後に当該合併法人(当該適格合併が法人を設立するものである場合には、当該適格合併により設立された法人)の特定役員となることが見込まれていること。