非上場株式の財産評価基本通達解説⑥-純資産価額計算上の負債について見逃している点はないか?
Q 純資産価額価額計算上の負債について、計上できるものを教えてくれますか?
A 引当金及び準備金は負債に計上できませんが、帳簿に計上していない場合でも、課税時期において未払いとなっているものの中に、負債計上できるものがあります。
解説
貸倒引当金、退職給与引当金、納税引当金その他の引当金及び準備金に相当する金額は負債に含まれませんが、以下は負債に計上できます(財産評価基本通達186、取引相場のない株式(出資)の評価明細書の記載方法等)。
1.未納公租公課、未払利息等の金額、課税時期の属する事業年度に係る法人税額、消費税額、事業税額、道府県民税額及び市町村民税額のうち、その事業年度開始の日から課税時期までの期間に対応する金額
2.課税時期以前に賦課期日のあった固定資産税及び都市計画税の税額
3.被相続人の死亡により、相続人その他の者に支給することが確定した退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与の金額
財産評価基本通達186(純資産価額計算上の負債)
186 前項の課税時期における1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算を行う場合には、貸倒引当金、退職給与引当金、納税引当金その他の引当金及び準備金に相当する金額は負債に含まれないものとし、次に掲げる金額は負債に含まれることに留意する(次項及び186-3≪評価会社が有する株式等の純資産価額の計算≫において同じ。)。(昭47直資3-16・昭58直評5外・平2直評12外・平11課評2-2外・平12課評2-4外・平18課評2-27外・令3課評2-43外改正)
(1)課税時期の属する事業年度に係る法人税額、消費税額、事業税額、道府県民税額及び市町村民税額のうち、その事業年度開始の日から課税時期までの期間に対応する金額(課税時期において未払いのものに限る。)
(2)課税時期以前に賦課期日のあった固定資産税の税額のうち、課税時期において未払いの金額
(3)被相続人の死亡により、相続人その他の者に支給することが確定した退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与の金額
ー取引相場のない株式(出資)の評価明細書の記載方法等ー
第5表 1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書 2(3)
2(3) 「負債の部」の「相続税評価額」欄には、評価会社の課税時期における各負債の金額を、「帳簿価額」欄には、「負債の部」の「相続税評価額」欄に評価額が記載された各負債の税務計算上の帳簿価額をそれぞれ記載します。この場合、貸倒引当金、退職給与引当金、納税引当金及びその他の引当金、準備金並びに繰延税金負債に相当する金額は、負債に該当しないものとします。ただ し、退職給与引当金のうち、平成14年改正法人税法附則第8条(退職給与引当金に関する経過措 置))第2項及び第3項適用後の退職給与引当金(以下「経過措置適用後の退職給与引当金」とい います。)勘定の金額に相当する金額は負債とします。
なお、次の金額は、帳簿に負債としての記載がない場合であっても、課税時期において未払いとなっているものは負債として「相続税評価額」欄及び「帳簿価額」欄のいずれにも記載します。 イ 未納公租公課、未払利息等の金額
ロ 課税時期以前に賦課期日のあった固定資産税及び都市計画税の税額
ハ 被相続人の死亡により、相続人その他の者に支給することが確定した退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与の金額(ただし、経過措置適用後の退職給与引当金の取崩しにより支
給されるものは除きます。)
ニ 課税時期の属する事業年度に係る法人税額(地方法人税額を含みます。)、消費税額(地方消
費税額を含みます。)、事業税額(地方法人特別税額を含みます。)、道府県民税額及び市町村民
税額のうち、その事業年度開始の日から課税時期までの期間に対応する金額