非上場株式の財産評価基本通達解説⑰-比準要素数1の会社の判定には直前期末以前3年間の実績を反映する点を見逃していないか?
Q 比準要素数1の会社の判定について留意点があれば教えてくれますか?
A 配当金額及び利益金額については、直前期末以前3年間の実績を反映して判定します。
解説
比準要素数1の会社の判定において、配当金額及び利益金額については、直前期末以前3年間の実績を反映して判定します(財産評価基本通達189(1))。
評価対象会社の直前期末を基準にするだけでなく、直前々期末を基準にして、比準3要素のうちいずれか2以上が0であるかどうかを判定しますので、直前期、直前々期、直前々期の前期の3期分の資料を入手する必要があります。
直前期、直前々期の2年分をもとにした判定では、配当要素0、利益要素0であったとしても、直前々期、直前々期の前期の2年分をもとにした判定では、配当要素、利益要素のうちいずれかの要素が1となり、比準要素数が2となる可能性があります。
財産評価基本通達189(1)
(1) 比準要素数1の会社の株式
183((評価会社の1株当たりの配当金額等の計算))の(1)、(2)及び(3)に定める「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」のそれぞれの金額のうち、いずれか2が0であり、かつ、直前々期末を基準にして同項の定めに準じそれぞれの金額を計算した場合に、それぞれの金額のうち、いずれか2以上が0である評価会社(次の(2)から(6)に該当するものを除く。以下「比準要素数1の会社」という。)の株式の価額は、次項の定めによる。
(注) 配当金額及び利益金額については、直前期末以前3年間の実績を反映して判定することになるのであるから留意する。
財産評価基本通達189−2(比準要素数1の会社の株式の評価)
189-2 189((特定の評価会社の株式))の(1)の「比準要素数1の会社の株式」の価額は、185((純資産価額))の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する(この場合における1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の合計数が比準要素数1の会社の185((純資産価額))のただし書に定める議決権総数の50%以下であるときには、同項の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を基に同項のただし書の定めにより計算した金額とする。)。ただし、上記の比準要素数1の会社の株式の価額は、納税義務者の選択により、Lを0.25 として、179((取引相場のない株式の評価の原則))の(2)の算式により計算した金額によって評価することができる(この場合における当該算式中の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、本項本文かっこ書と同様とする。)。
なお、当該株式が188((同族株主以外の株主等が取得した株式))に定める同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合には、その株式の価額は、188-2((同族株主以外の株主等が取得した株式の評価))の本文の定めにより計算した金額(この金額が本項本文又はただし書の定めによって評価するものとして計算した金額を超える場合には、本項本文又はただし書(納税義務者が選択した場合に限る。)の定めにより計算した金額)によって評価する。(平12課評2-4外追加、平15課評2-15外・平29課評2-46外改正)
(注) 上記の「議決権の合計数」には、188-5((種類株式がある場合の議決権総数等))の「株主総会の一部の事項について議決権を行使できない株式に係る議決権の数」を含めるものとする。189-3((株式等保有特定会社の株式の評価))及び189-4((土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価))においても同様とする。