事業譲渡②-第三者への事業譲渡における譲受法人の税務上の留意点を見逃していないか?
Q 第三者からの事業買取を検討していますが、税務上の留意点を教えてくれますか?
A 特に、資産調整勘定、負債調整勘定に留意する必要があります。
解説
事業譲渡は個々の財産の権利義務の移転と考えるため、移転する資産・負債は時価で評価されます。
移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額が支払対価を超える部分は、資産調整勘定として計上します(法人税法第62条の8第1項、法人税法施行令第123条の10第3項)。
一方で、移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額に支払対価が満たないときは、その満たない部分の金額は、負債調整勘定となります(法人税法第62条の8第3項)。
資産調整勘定は、5年間の定額法で償却します(法人税法第62条の8第4項、第7項、第11項)。
法人税法第62条の8第1項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)
3 内国法人が非適格合併等により当該非適格合併等に係る被合併法人等から資産又は負債の移転を受けた場合において、当該非適格合併等に係る非適格合併等対価額が当該被合併法人等から移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額に満たないときは、その満たない部分の金額は、負債調整勘定の金額とする。
4 第一項の資産調整勘定の金額を有する内国法人は、各資産調整勘定の金額に係る当初計上額(非適格合併等の時に同項の規定により当該資産調整勘定の金額とするものとされた金額をいう。)を六十で除して計算した金額に当該事業年度の月数(当該事業年度が当該資産調整勘定の金額に係る非適格合併等の日の属する事業年度である場合には、同日から当該事業年度終了の日までの期間の月数)を乗じて計算した金額(当該内国法人が自己を被合併法人とする合併(適格合併を除く。)を行う場合又は当該内国法人の残余財産が確定した場合にあつては、当該合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度終了の時の金額)に相当する金額を、当該事業年度(当該内国法人が当該合併を行う場合又は当該内国法人の残余財産が確定した場合にあつては、当該合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度)において減額しなければならない。
7 第三項の負債調整勘定の金額(以下この条において「差額負債調整勘定の金額」という。)を有する内国法人は、各差額負債調整勘定の金額に係る当初計上額(非適格合併等の時に同項の規定により当該差額負債調整勘定の金額とするものとされた金額をいう。)を六十で除して計算した金額に当該事業年度の月数(当該事業年度が当該差額負債調整勘定の金額に係る非適格合併等の日の属する事業年度である場合には、同日から当該事業年度終了の日までの期間の月数)を乗じて計算した金額(当該内国法人が自己を被合併法人とする合併(適格合併を除く。)を行う場合又は当該内国法人の残余財産が確定した場合にあつては、当該合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度終了の時の金額)に相当する金額を、当該事業年度(当該内国法人が当該合併を行う場合又は当該内国法人の残余財産が確定した場合にあつては、当該合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度)において減額しなければならない。
11 第四項及び第七項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
法人税法施行令第123条の10第3項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)