非上場株式の評価⑩-配当還元価額の異常値を是正後の純資産価額評価で、子会社株式の帳簿価額の減少をそのまま反映して評価差額を計算していないか?
Q評価対象会社である株式移転完全親法人は、配当還元価額の異常値を是正するため、株式移転完全子法人株式を、発行会社である当該株式移転完全子法人に対して無償譲渡しています。株式移転完全親法人株式の純資産価額を計算する際に、株式移転完全子会社株式の帳簿価額の減少を反映したまま評価してもよいでしょうか?
A反映したまま評価できません。
解説
株式移転により著しく低い価額で受け入れた株式がある場合には、株式移転の時において当該資産をこの通達の定めるところにより評価した価額を帳簿価額とします。一方で、この通達の定めるところにより評価した価額を上回る価額で受け入れた株式がある場合には、この通達の定めるところにより評価した帳簿価額とします(財産評価基本通達186−2)。したがって、評価差額を計算する際の子会社株式の帳簿価額は、必ず株式移転時において、この通達の定めるところにより評価した価額(=原則評価額)とする必要があります。
財産評価基本通達186−2(評価差額に対する法人税額等に相当する金額)
185((純資産価額))の「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」は、次の(1) の金額から(2)の金額を控除した残額がある場合におけるその残額に37%(法人税(地方法人税を含む。)、事業税(特別法人事業税を含む。)、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合)を乗じて計算した金額とする。(昭47直資3-16追加、昭49直資5-14・昭56直評18・昭58直評5外・昭59直評5外・昭62直評11外・平元直評7外・平2直評4外・平6課評2-8外・平10課評2-5外・平11課評2-12外・平12課評2-4外・平18課評2-27外・平22課評2-18外・平24課評2-8外・平26課評2-9外・平27課評2-5外・平28課評2-10外・令元課評2-39外改正)
(1) 課税時期における各資産をこの通達に定めるところにより評価した価額の合計額(以下この項において「課税時期における相続税評価額による総資産価額」という。)から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額
(2) 課税時期における相続税評価額による総資産価額の計算の基とした各資産の帳簿価額の合計額(当該各資産の中に、現物出資若しくは合併により著しく低い価額で受け入れた資産又は会社法第2条第31号の規定による株式交換(以下この項において「株式交換」という。)若しくは会社法第2条第32号の規定による株式移転(以下この項において「株式移転」という。)により著しく低い価額で受け入れた株式(以下この項において、これらの資産又は株式を「現物出資等受入れ資産」という。)がある場合には、当該各資産の帳簿価額の合計額に、現物出資、合併、株式交換又は株式移転の時において当該現物出資等受入れ資産をこの通達に定めるところにより評価した価額から当該現物出資等受入れ資産の帳簿価額を控除した金額(以下この項において「現物出資等受入れ差額」という。)を加算した価額)から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額
(注)
1 現物出資等受入れ資産が合併により著しく低い価額で受け入れた資産(以下(注)1において「合併受入れ資産」という。)である場合において、上記(2)の「この通達に定めるところにより評価した価額」は、当該価額が合併受入れ資産に係る被合併会社の帳簿価額を超えるときには、当該帳簿価額とする。
2 上記(2)の「現物出資等受入れ差額」は、現物出資、合併、株式交換又は株式移転の時において現物出資等受入れ資産をこの通達に定めるところにより評価した価額が課税時期において当該現物出資等受入れ資産をこの通達に定めるところにより評価した価額を上回る場合には、課税時期において当該現物出資等受入れ資産をこの通達に定めるところにより評価した価額から当該現物出資等受入れ資産の帳簿価額を控除した金額とする。
3 上記(2)のかっこ書における「現物出資等受入れ差額」の加算は、課税時期における相続税評価額による総資産価額に占める現物出資等受入れ資産の価額(課税時期においてこの通達に定めるところにより評価した価額)の合計額の割合が20%以下である場合には、適用しない。