非上場株式の評価⑪-配当還元価額の異常値を是正後の類似業種比準方式で、資本金等の額の減少を反映して計算していないか?

Q評価対象会社である株式移転完全親法人は、配当還元価額の異常値を是正するため、株式移転完全子法人株式を、発行会社である当該株式移転完全子法人に対して無償譲渡しています。株式移転完全親法人株式の類似業種比準価額を計算する際に、資本金等の額の減少を反映したまま評価してもよいでしょうか?

A反映できません。

解説
評価対象会社は配当還元価額の異常値の是正のみを目的に、資本金等の額を減少させています。類似業種比準方式においては、資本金等の額の減少が、類似業種比準要素のうち「1株当たりの純資産価額」の減少に直結します(財産評価基本通達183(3))。組織再編による資本金等の額の増加が類似業種比準価額の異常値に繋がっているわけではないにもかかわらず、資本金等の額の減少を受けて類似業種比準価額を減少することはできないと考えます。

財産評価基本通達183(評価会社の1株当たりの配当金額等の計算)
180≪類似業種比準価額≫の評価会社の「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、それぞれ次による。(昭44直資3-20・昭53直評5外・昭58直評5外・平12課評2-4外・平15課評2-15外・平18課評2-27外改正)

(1)「1株当たりの配当金額」は、直前期末以前2年間におけるその会社の剰余金の配当金額(特別配当、記念配当等の名称による配当金額のうち、将来毎期継続することが予想できない金額を除く。)の合計額の2分の1に相当する金額を、直前期末における発行済株式数(1株当たりの資本金等の額が50円以外の金額である場合には、直前期末における資本金等の額を50円で除して計算した数によるものとする。(2)及び(3)において同じ。)で除して計算した金額とする。

(2)「1株当たりの利益金額」は、直前期末以前1年間における法人税の課税所得金額(固定資産売却益、保険差益等の非経常的な利益の金額を除く。)に、その所得の計算上益金に算入されなかった剰余金の配当(資本金等の額の減少によるものを除く。)等の金額(所得税額に相当する金額を除く。)及び損金に算入された繰越欠損金の控除額を加算した金額(その金額が負数のときは、0とする。)を、直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とする。ただし、納税義務者の選択により、直前期末以前2年間の各事業年度について、それぞれ法人税の課税所得金額を基とし上記に準じて計算した金額の合計額(その合計額が負数のときは、0とする。)の2分の1に相当する金額を直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とすることができる。

(3)「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、直前期末における資本金等の額及び法人税法第2条((定義))第18号に規定する利益積立金額に相当する金額(法人税申告書別表五(一)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」の差引翌期首現在利益積立金額の差引合計額)の合計額を直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とする。

(注)

1 上記(1)の「剰余金の配当金額」は、各事業年度中に配当金交付の効力が発生した剰余金の配当金額(資本金等の額の減少によるものを除く。)を基として計算することに留意する。

2 利益積立金額に相当する金額が負数である場合には、その負数に相当する金額を資本金等の額から控除するものとし、その控除後の金額が負数となる場合には、その控除後の金額を0とするのであるから留意する。