非上場株式の評価⑫-類似業種比準方式で、比準要素2の会社とするために配当を行う場合に、臨時配当で対応していないか?

Q評価対象会社は配当を実施しておらず、前期に続き今期の利益もマイナスとなる見込みで、来期に課税時期を迎えると比準要素1(純資産)の会社に該当します。比準要素2の会社とするために決算月に臨時配当を検討していますが、比準要素2(配当,純資産)の会社としての評価が認められますか?

A非経常的な配当であれば認められません。

解説
類似業種比準方式の配当要素の判定において、毎期継続が見込まれない配当は、非経常的な配当として除かれます。期末を配当基準日として、定時株主総会決議を通じて前期の業績に紐づいた配当を継続するなど、毎期一定の基準日を定めて配当を継続することが、経常的な配当としての比準要素を構成する重要な指標となると考えます。財産評価基本通達183(1)の括弧書きでは、(特別配当、記念配当等の名称による配当金額のうち、将来毎期継続することが予想できない金額を除く。)とされています。これは、配当の名称で形式的に判断するのではなく、配当の支払理由からみて、当該配当が将来毎期継続する配当であるかどうかを判断することを意味していると考えます。

財産評価基本通達183(評価会社の1株当たりの配当金額等の計算)
180≪類似業種比準価額≫の評価会社の「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、それぞれ次による。(昭44直資3-20・昭53直評5外・昭58直評5外・平12課評2-4外・平15課評2-15外・平18課評2-27外改正)

(1)「1株当たりの配当金額」は、直前期末以前2年間におけるその会社の剰余金の配当金額(特別配当、記念配当等の名称による配当金額のうち、将来毎期継続することが予想できない金額を除く。)の合計額の2分の1に相当する金額を、直前期末における発行済株式数(1株当たりの資本金等の額が50円以外の金額である場合には、直前期末における資本金等の額を50円で除して計算した数によるものとする。(2)及び(3)において同じ。)で除して計算した金額とする。