組織再編税制㉖-非適格合併であっても繰越欠損金の引継ぎ、特定資産譲渡等損失の損金算入制限が課される場合があることを見逃していないか?
Q完全支配関係にある2社の合併ですが、合併対価として金銭等を交付することから非適格合併となります。繰越欠損金の使用制限、特定資産譲渡等損失の損金算入制限について留意点はありますか?
A非適格合併であっても、完全支配関係にある2社の合併については制限が課されます。
解説
完全支配関係にある2社において非適格合併が行われた場合、被合併法人の譲渡損益調整資産については、帳簿価額で合併法人が引継ぎます(法人税法第61条の13第7項)。非適格合併であっても帳簿価額による被合併法人の資産の受け入れが認められ、含み損益に課税が行われない点を考慮し、適格合併の場合と同様に、繰越欠損金の使用制限(法人税法第57条第2項)、特定資産譲渡等損失の損金算入制限(法人税法第62条の7第1項)が課されます。
法人税法第61条の13第7項
7 適格合併に該当しない合併に係る被合併法人が当該合併による譲渡損益調整資産の移転につき第一項の規定の適用を受けた場合には、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額に相当する金額は当該合併に係る合併法人の当該譲渡損益調整資産の取得価額に算入しないものとし、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡損失額に相当する金額は当該合併法人の当該譲渡損益調整資産の取得価額に算入するものとする。
法人税法第57条第2項
2 前項の内国法人を合併法人とする適格合併が行われた場合又は当該内国法人との間に完全支配関係(当該内国法人による完全支配関係又は第二条第十二号の七の六(定義)に規定する相互の関係に限る。)がある他の内国法人で当該内国法人が発行済株式若しくは出資の全部若しくは一部を有するものの残余財産が確定した場合において、当該適格合併に係る被合併法人又は当該他の内国法人(以下この項において「被合併法人等」という。)の当該適格合併の日前十年以内に開始し、又は当該残余財産の確定の日の翌日前十年以内に開始した各事業年度(以下この項及び次項において「前十年内事業年度」という。)において生じた欠損金額(当該被合併法人等が当該欠損金額(この項又は第六項の規定により当該被合併法人等の欠損金額とみなされたものを含み、第四項、第五項又は第九項の規定によりないものとされたものを除く。次項及び第八項において同じ。)の生じた前十年内事業年度について青色申告書である確定申告書を提出していることその他の政令で定める要件を満たしている場合における当該欠損金額に限るものとし、前項の規定により当該被合併法人等の前十年内事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの及び第八十条の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。以下この項において「未処理欠損金額」という。)があるときは、当該内国法人の当該適格合併の日の属する事業年度又は当該残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度(以下この項において「合併等事業年度」という。)以後の各事業年度における前項の規定の適用については、当該前十年内事業年度において生じた未処理欠損金額(当該他の内国法人に株主等が二以上ある場合には、当該未処理欠損金額を当該他の内国法人の発行済株式又は出資(当該他の内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額で除し、これに当該内国法人の有する当該他の内国法人の株式又は出資の数又は金額を乗じて計算した金額)は、それぞれ当該未処理欠損金額の生じた前十年内事業年度開始の日の属する当該内国法人の各事業年度(当該内国法人の合併等事業年度開始の日以後に開始した当該被合併法人等の当該前十年内事業年度において生じた未処理欠損金額にあつては、当該合併等事業年度の前事業年度)において生じた欠損金額とみなす。