組織再編税制㉙-特定資産譲渡等損失の損金不算入制度においてみなし引継資産に該当する場合の留意事項を見逃していないか?

Q特定資産譲渡等損失の損金算入制限の対象となる特定資産に該当するかの判定にあたり、適格合併の前に別の適格合併が行われている場合に留意点はありますか?

A支配関係発生日の属する事業年度開始の日に特定資産を有していなくても、その後の組織再編により帳簿価額で受け入れていた資産がある場合には、当該資産もみなし引継資産として特定資産に該当するケースがあります。

解説
特定適格組織再編成の日以前2年以内の期間内に行われた別の特定適格組織再編成により移転を受けた資産で、関連法人(例:別の適格合併における被合併法人)が支配関係法人との支配発生日前から有していたものについては、支配関係法人が支配関係発生日前から有していたものとみなして、特定資産譲渡等損失の損金算入規定が適用されます。

 

法人税法施行令第123条の8第12項(特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入)
12 法第六十二条の七第一項の内国法人が同項に規定する支配関係法人から同項の特定適格組織再編成等により移転を受けた資産のうちに当該特定適格組織再編成等の日以前二年以内の期間(第一項第二号イに掲げる場合に該当しない場合には、支配関係発生日以後の期間に限る。第一号及び第二号において「前二年以内期間」という。)内に行われた一又は二以上の前特定適格組織再編成等(特定適格組織再編成等で関連法人(当該内国法人及び当該支配関係法人との間に支配関係がある法人をいい、第一項第二号イに掲げる場合に該当する場合には同号イの他の法人を含む。以下この項において同じ。)を被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人とし、当該支配関係法人又は他の関連法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人とする他の特定適格組織再編成等をいう。)により移転があつた資産で関連法人のいずれかが関連法人支配関係発生日(当該内国法人及び当該支配関係法人と当該関連法人との間に最後に支配関係があることとなつた日(当該他の法人にあつては、当該内国法人と当該他の法人との間に最後に支配関係があることとなつた日)をいう。以下この項において同じ。)前から有していたもの(以下この項において「移転資産」という。)がある場合においては、当該移転資産については、当該支配関係法人が当該支配関係発生日前から有していたものとみなして、同条第二項の規定を適用する。ただし、次に掲げる資産については、この限りでない。
一 前二年以内期間内に行われた適格組織再編成等で特定適格組織再編成等に該当しないものにより移転があつた資産
二 前二年以内期間内に行われた適格合併に該当しない合併により移転があつた資産で譲渡損益調整資産以外のもの
三 前二号に掲げる資産以外の資産で次に掲げるもの
イ 資産を財務省令で定める単位に区分した後のそれぞれの資産の当該関連法人支配関係発生日の属する事業年度開始の日における帳簿価額又は取得価額が千万円に満たない資産
ロ 当該関連法人支配関係発生日の属する事業年度開始の日以後に有することとなつた資産及び同日における価額が同日における帳簿価額を下回つていない資産(法第六十二条の七第一項の内国法人の同項に規定する特定組織再編成事業年度の確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同日における当該資産の価額及びその帳簿価額に関する明細を記載した書類の添付があり、かつ、当該資産に係る同日の価額の算定の基礎となる事項を記載した書類その他の財務省令で定める書類を保存している場合における当該資産に限る。)