組織再編税制㉞-適格分割により不動産を移転した場合の不動産取得税の非課税の留意点を見逃していないか?
Q 適格分社型分割により、不動産事業を 100%子会社に切り出す予定です。税制適格要件の充足に問題はないと考えますが、不動産取得税の非課税要件に関して留意事項はありますか?
A会社分割における不動産取得税の非課税要件を充足するためには、不動産事業にかかる従業者のおおむね80%以上が、分割承継法人の業務に従事することが見込まれている必要があります。
解説
完全支配関係における会社分割においては、分割対価として株式のみを交付することで、組織再編税制における適格要件は充足します。ただし、会社分割における不動産取得税の非課税の適用にあたっては、以下の要件を全て充足する必要があるため、留意が必要です(地方税法第73条の7第2項、地方税法施行令第37条の14)。
1.分割承継法人の株式以外の資産が分割対価として交付されないこと
2.分割型分割にあっては、非按分型分割に該当しないこと
3.分割事業に係る主要な資産及び負債が分割承継法人に移転していること
4.分割事業が分割承継法人において分割後に引き続き営まれることが見込まれていること
5.分割の直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が分割後に分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること
したがって、完全支配関係における会社分割においても、不動産取得税の非課税要件の充足には、従業者の引継ぎ要件も充足する必要がある点に留意が必要です。
地方税法第73条の7第2項(形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税)
道府県は、次に掲げる不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
道府県は、次に掲げる不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
二 法人の合併又は政令で定める分割による不動産の取得
地方税法施行令第37条の14(法第七十三条の七第二号の分割)
法第七十三条の七第二号に規定する政令で定める分割は、次に掲げる要件に該当する分割で分割対価資産(法人税法第二条第十二号の九イに規定する分割対価資産をいう。)として分割承継法人(法人税法第二条第十二号の三に規定する分割承継法人をいう。以下この条において同じ。)の株式(出資を含む。以下この条において同じ。)以外の資産が交付されないもの(当該株式が交付される分割型分割(法人税法第二条第十二号の九に規定する分割型分割をいう。)にあつては、当該株式が分割法人(法人税法第二条第十二号の二に規定する分割法人をいう。以下この条において同じ。)の株主等(法人税法第二条第十四号に規定する株主等をいう。)の有する当該分割法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)とする。
一 当該分割により分割事業(分割法人の分割前に営む事業のうち、当該分割により分割承継法人において営まれることとなるものをいう。以下この条において同じ。)に係る主要な資産及び負債が分割承継法人に移転していること。
二 当該分割に係る分割事業が分割承継法人において当該分割後に引き続き営まれることが見込まれていること。
三 当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該分割後に分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること。