組織再編税制㊳-分割型分割と分社型分割における適格判定(共同事業要件)で、株式継続保有要件における違いを見逃していないか?

Q 分社型分割により、事業を切り出す予定です。分割法人が分割対価として取得する分割承継法人株式を、分割後に分割法人の支配株主に対して譲渡した場合でも、適格要件における株式継続保有要件の充足に問題はないでしょうか?

A非適格分割となります。

解説
分割型分割の株式継続保有要件を充足するためには、分割対価として交付を受けた株式について、支配株主による継続保有が見込まれていればよく(法人税法施行令第4条の3第8項第6号イ)、仮に分割後にグループ間や親族間で株式譲渡が行われる予定であっても、株式継続保有要件を充足します。一方で、分社型分割の株式継続保有要件を充足するためには、支配株主ではなく、分割法人による継続保有が見込まれている必要があります(法人税法施行令第4条の3第8項第6号ロ)。したがって、分割後に分割対価として取得した分割承継法人株式を、分割法人が1株でも譲渡することが見込まれている場合には、非適格分割となってしまう点に留意が必要です。

 

法人税法施行令第4条の3第8項第6号ロ(適格組織再編成における株式の保有関係等)

 

六 次に掲げる分割の区分に応じそれぞれ次に定める要件
イ 分割型分割 当該分割型分割により交付される当該分割型分割に係る分割承継法人又は法第二条第十二号の十一に規定する分割承継親法人(ロにおいて「分割承継親法人」という。)のうちいずれか一の法人の株式(議決権のないものを除く。)であつて支配株主(当該分割型分割の直前に当該分割型分割に係る分割法人と他の者との間に当該他の者による支配関係がある場合における当該他の者及び当該他の者による支配関係があるもの(当該分割承継法人を除く。)をいう。イにおいて同じ。)に交付されるもの(当該分割型分割が無対価分割である場合にあつては、支配株主が当該分割型分割の直後に保有する当該分割承継法人の株式の数に支配株主が当該分割型分割の直後に保有する当該分割承継法人の株式の帳簿価額として財務省令で定める金額のうちに支配株主が当該分割型分割の直前に保有していた当該分割法人の株式の帳簿価額のうち当該分割型分割により当該分割承継法人に移転した資産又は負債に対応する部分の金額として財務省令で定める金額の占める割合を乗じて計算した数の当該分割承継法人の株式。イにおいて「対価株式」という。)の全部が支配株主(当該分割型分割後に行われる適格合併により当該対価株式が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合には、当該合併法人を含む。イにおいて同じ。)により継続して保有されることが見込まれていること(当該分割型分割後に当該いずれか一の法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該分割型分割の時から当該適格合併の直前の時まで当該対価株式の全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていること。)。
ロ 分社型分割 当該分社型分割により交付される当該分社型分割に係る分割承継法人又は分割承継親法人のうちいずれか一の法人の株式(当該分社型分割が無対価分割である場合にあつては、当該分社型分割に係る分割法人が当該分社型分割の直後に保有する当該分割承継法人の株式の数に当該分割法人が当該分社型分割の直後に保有する当該分割承継法人の株式の帳簿価額として財務省令で定める金額のうちに当該分割法人が当該分社型分割により当該分割承継法人に移転した資産又は負債の帳簿価額を基礎として財務省令で定めるところにより計算した金額の占める割合を乗じて計算した数の当該分割承継法人の株式)の全部が当該分割法人(当該分社型分割後に行われる適格合併により当該いずれか一の法人の株式の全部が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合には、当該合併法人を含む。ロにおいて同じ。)により継続して保有されることが見込まれていること(当該分社型分割後に当該いずれか一の法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該分社型分割の時から当該適格合併の直前の時まで当該いずれか一の法人の株式の全部が当該分割法人により継続して保有されることが見込まれていること。)。