組織再編税制㊶-分社型分割と現物出資とで消費税の取り扱いが違う点を見逃していないか?
Q 100%子会社に不動産事業を切り出すことを検討しています。会社分割と現物出資で異なる点があれば教えてくれますか?
A会社分割の場合には消費税対象外となりますが、現物出資の場合には、消費税対象となります。
解説
会社分割で包括承継により不動産を移転した場合には、消費税法における資産の譲渡等に該当しません(消費税法施行令第2条第1項第4号)。しかし、現物出資により不動産を移転した場合には、資産の譲渡等に含まれ(消費税法施行令第2条第1項第2号)、資産の譲渡等の対価の額は現物出資により取得する株式の取得の時における時価に相当する金額となります(消費税法第28条第1項、消費税法施行令第45条第2項第3号)。
このため、事業用建物を現物出資した場合には課税売上となり、土地を現物出資した場合には非課税売上となり課税売上割合が減少する点に留意が必要です。
消費税法施行令第2条第1項第4号(資産の譲渡等の範囲)
法第二条第一項第八号に規定する対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
二 金銭以外の資産の出資(特別の法律に基づく承継に係るものを除く。)
四 貸付金その他の金銭債権の譲受けその他の承継(包括承継を除く。)
消費税法施行令第45条第2項第3号(課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れに係る消費税の課税標準の額)
2 次の各号に掲げる行為に該当するものの対価の額は、当該各号に定める金額とする。
三 金銭以外の資産の出資 当該出資により取得する株式(出資を含む。)の取得の時における価額に相当する金額