組織再編税制㊸-現物出資により不動産を移転した場合の不動産取得税の非課税要件における留意点を見逃していないか?

Q 現物出資により、不動産事業を 既存の100%子会社に切り出す予定です。不動産取得税の非課税要件に関して留意事項はありますか?

A被現物出資法人が新設会社の場合にのみ、非課税が認められる点に留意が必要です。

解説
現物出資における不動産取得税の非課税の適用にあたっては、以下の要件を全て充足する必要があるため、留意が必要です(地方税法第73条の7第2号の2、地方税法施行令第37条の14の2)。

1.現物出資を行う株式会社が、新設株式会社の発行済株式の総数の百分の九十以上の数を所有していること。
2.新設株式会社が出資株式会社の事業の一部の譲渡を受け、当該譲渡に係る事業を継続して行うことを目的としていること。
3.新設株式会社の取締役の一人以上が出資株式会社の取締役又は監査役であること。

※株式会社と規定されていますが、株式会社以外でも認められています(地方税法施行令第37条の14の2第2号)。
すなわち、現物出資における不動産取得税の非課税要件の充足には、新設会社であることが条件とされています。

 

地方税法第73条の7第2号の2(形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税)
道府県は、次に掲げる不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
二の二 法人が新たに法人を設立するために現物出資(現金出資をする場合における当該出資の額に相当する資産の譲渡を含む。)を行う場合(政令で定める場合に限る。)における不動産の取得

 

地方税法第37条の14の2(法第七十三条の七第二号の二の場合)
法第七十三条の七第二号の二に規定する政令で定める場合は、次に掲げる場合とする。

一 株式会社が新たに株式会社を設立するために現物出資(現金出資をする場合における当該出資の額に相当する資産の譲渡を含む。以下この条において同じ。)を行う場合であつて、当該新たに設立される株式会社(以下この号において「新設株式会社」という。)の設立時において、次に掲げる要件が充足されるとき。
 イ 現物出資を行う株式会社(以下この号において「出資株式会社」という。)が、新設株式会社の発行済株式の総数の百分の九十以上の数を所有していること。
 ロ 新設株式会社が出資株式会社の事業の一部の譲渡を受け、当該譲渡に係る事業を継続して行うことを目的としていること。
 ハ 新設株式会社の取締役の一人以上が出資株式会社の取締役又は監査役であること。
二 株式会社以外の法人が同種の法人を設立するために現物出資を行う場合であつて、前号に掲げる場合に類するとき。