組織再編税制㊷-現物出資について、資産と負債を合わせて出資した場合の消費税の計算方法を見逃していないか?

Q 現物出資により、不動産事業にかかる土地建物と借入を 既存の100%子会社に切り出す予定です。消費税の計算に関して留意事項はありますか?

A現物出資により交付された株式の時価を消費税計算上の資産の譲渡等の対価の額とし、土地建物の時価比で按分して計算します。

解説
資産と負債を合わせて現物出資した場合には、現物出資した資産の時価と、対価として交付された株式時価が異なります。この点、対価として交付された株式時価を資産の譲渡等の対価の額とし、当該株式時価を用いて、土地(非課税資産)と建物(課税資産)の時価比で按分することで、非課税資産の譲渡と課税資産の譲渡に区分し、消費税を計算します(消費税法施行令第45条第2項第3号、第3項)。

 

消費税法施行令第45条第2項第3号、第3項(課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れに係る消費税の課税標準の額)
法第二十八条第一項及び第二項に規定する金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
2 次の各号に掲げる行為に該当するものの対価の額は、当該各号に定める金額とする。
三 金銭以外の資産の出資 当該出資により取得する株式(出資を含む。)の取得の時における価額に相当する金額
3 事業者が課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。以下この項において同じ。)に係る資産(以下この項において「課税資産」という。)と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に係る資産(以下この項において「非課税資産」という。)とを同一の者に対して同時に譲渡した場合において、これらの資産の譲渡の対価の額(法第二十八条第一項に規定する対価の額をいう。以下この項において同じ。)が課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されていないときは、当該課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、これらの資産の譲渡の対価の額に、これらの資産の譲渡の時における当該課税資産の価額と当該非課税資産の価額との合計額のうちに当該課税資産の価額の占める割合を乗じて計算した金額とする。

 

国税庁HP 質疑応答事例 現物出資の場合の課税標準
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/14/02.htm