組織再編税制㊽-個人株主の存在により、内国法人間で株式の100%を直接保有する関係でない現物分配においても適格要件を充足する場合がある点を見逃していないか?

Q弊社の株主は、オーナー個人が20%、オーナー100%出資のA社が80%の株式を保有している状況です。オーナーを頂点とする完全支配関係が成立している状況で、弊社はA社が保有する弊社株式の一部を取得します。自己株式取得の対価としてA社に金銭ではなく現物を交付する予定ですが、A社への現物分配は適格現物分配に該当しますか?

A適格現物分配に該当します。

解説
適格現物分配とは、内国法人を現物分配法人とする現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人のみであるものをいいます(法人税法第2条12の15)。したがって、現物分配の対象が完全支配関係のある内国法人のみである場合には、内国法人間で株式の100%を直接保有する関係でなくとも適格現物分配となります。

 

法人税法第2条12の15(適格現物分配)

十二の十五 適格現物分配 内国法人を現物分配法人とする現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)のみであるものをいう。