組織再編税制㊾-株式交換による保有株式の譲渡は、消費税法上の有価証券の譲渡等に該当する点を見逃していないか?

Q株式交換により、株主である弊社は保有するA社株式と引き換えにB社株式が交付されることになります。適格株式交換であるため株式譲渡損益は生じないはずですが、その他の留意点があれば教えていただけますか?

A消費税の計算上、交付された株式対価であるB社株式の時価の5%が非課税売上となるため、課税売上割合が減少します。

解説
株式交換は株式を交換する取引です。保有する株式を譲渡した対価として新しい株式を受け取る取引となりますので、適格組織再編、非適格組織再編のいずれに該当するかに関わらず、消費税法上の有価証券等の譲渡に該当します(消費税法第6条第1項、消費税法別表第一第2号)。したがって、消費税の計算上、交付された株式対価であるB社株式の時価の5%が非課税売上となるため、課税売上割合が減少することになります(消費税法施行令第48条第5項)。

 

消費税法第6条第1項(非課税)
国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。

 

消費税法別表第一第2号(第六条、第十二条の二、第十二条の三、第三十条、第三十五条の二関係)
二 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項(定義)に規定する有価証券その他これに類するものとして政令で定めるもの(ゴルフ場その他の施設の利用に関する権利に係るものとして政令で定めるものを除く。)及び外国為替及び外国貿易法第六条第一項第七号(定義)に規定する支払手段(収集品その他の政令で定めるものを除く。)その他これに類するものとして政令で定めるもの(別表第二において「有価証券等」という。)の譲渡

 

消費税法施行令第48条第5項(課税売上割合の計算方法)
5 事業者が法別表第一第二号に規定する有価証券(第九条第二項に規定するゴルフ場利用株式等を除く。)並びに同条第一項第一号及び第三号に掲げる権利(以下この項において「有価証券等」という。)の譲渡をした場合(当該譲渡が第二項第三号に掲げる現先取引債券等の譲渡又は第三項に規定する現先取引債券等の売戻しに該当する場合を除く。)又は同条第一項第四号に掲げる金銭債権(資産の譲渡等を行つた者が当該資産の譲渡等の対価として取得したものを除く。以下この項において同じ。)の譲渡をした場合には、当該譲渡に係る第一項第一号に規定する資産の譲渡等の対価の額は、当該有価証券等又は金銭債権の譲渡の対価の額の百分の五に相当する金額とする。

 

国税庁質疑応答 非課税となる有価証券の範囲と課税売上割合の関係
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/17/09.htm