株式交付制度③-株式交付は組織再編税制の適用はなく、子会社となる他の会社に時価評価課税がない点を見逃していないか?

Q弊社は株式交付により他の会社を子会社化しようと考えています。適格要件を充足しなかった場合などに、当該他の会社に課税が生じる可能性はありますか?

Aありません。

解説
株式交付は会社法上は組織再編行為の一つとされ、会計上も株式交換と同様に企業結合会計基準が適用されます。一方で、税法上は組織再編税制の適用はなく、株式譲渡にかかる譲渡損益を繰り延べる特例措置が、租税特別措置法に規定されています。したがって、税制適格、非適格の概念もなく、子会社となる他の会社に時価評価課税はありません。

株式交付では、譲り受けられる株式数の制限規定はないため、他の会社の議決権すべてを取得することも可能です。したがって、株式交換における税制適格要件を充足できない場合であっても、株式交付により完全親子関係を実現できる可能性があります。