非上場株式の評価⑲-株式移転完全親法人が保有する株式移転完全子法人株式の帳簿価額を現物出資等受入れ差額で調整する際に、法人税額等に相当する金額を控除していないか?

Q株式移転後の親法人が保有する子法人株式の帳簿価額に関して、株式移転時の株式評価額とするために、現物出資等受入れ差額で調整すると思います。株式移転時の子法人の評価につき、「類似業種比準価額>純資産価額」であるため純資産価額を採用しますが、評価の際に評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除してもよいでしょうか?

A控除できません。

解説
評価対象会社が保有する取引相場のない株式の純資産価額の計算にあたっては、評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除できないこととなっています(財産評価基本通達186ー3注意書き)。
平成2年8月の通達改正により、改正前まで累積的に控除できていた子会社株式の評価にかかる取り扱いが是正されました。改正前までは、例えば評価対象会社が現物出資をして子会社株式を保有することで、評価対象会社の純資産価額が連動して引き下げられる仕組みを利用する節税策が横行していました。その状況を是正するために通達改正に至ったことを把握しておく必要があります。
本件でも、子法人の帳簿価額について法人税額等に相当する金額を控除してしまうと、通達改正前と同様に、元々の子会社における純資産価額評価において法人税額等に相当する金額を控除してしまうことになってしまうため、控除することはできません。

財産評価基本通達186−3(評価会社が有する株式等の純資産価額の計算)
185≪純資産価額≫の定めにより、課税時期における評価会社の各資産を評価する場合において、当該各資産のうちに取引相場のない株式があるときの当該株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、当該株式の発行会社の課税時期における各資産をこの通達に定めるところにより評価した金額の合計額から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額を課税時期における当該株式の発行会社の発行済株式数で除して計算した金額とする。
 なお、評価会社の各資産のうちに出資及び転換社債型新株予約権付社債(197-5((転換社債型新株予約権付社債の評価))の(3)のロに定めるものをいう。)のある場合についても、同様とする。(平2直評12外追加、平11課評2-12外・平12課評2-4外・平15課評2-15外改正)

(注) この場合における1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算に当たっては、186-2≪評価差額に対する法人税額等に相当する金額≫の定めにより計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除しないのであるから留意する。

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