株式交付制度⑨-無議決権株式は株式交付による取得対象外である可能性が高い点を見逃していないか?

Q株式会社である弊社は、株式交付により他の会社の株主が保有する株式の取得を検討しています。他の会社は種類株式(無議決権)を発行しているので、普通株式と併せて種類株式も取得予定ですが、留意点はありますか?

A無議決権株式を取得対象とすることはできないと考えられます。

解説
会社法の規定では、他の会社から譲り受ける株式を議決権のある株式に限定していませんが、株式交付は、株式会社が他の株式会社を議決権50%超の子会社とするための制度といえます(会社法第2条第32号の2、会社法施行規則第3条第3項第1号、会社法施行規則第4条の2)。したがって、制度趣旨からは無議決権株式は対象外となると考えられます。
この点、発行済株式の全部を取得する組織行為である株式交換と区別しておく必要があります(会社法第2条第31号)。

 

会社法第2条第31号
株式交換 株式会社がその発行済株式(株式会社が発行している株式をいう。以下同じ。)の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることをいう。

 

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