グループ法人税制③-事業譲渡により営業権が生じた場合の譲渡益は繰延対象外となってしまう点を見逃していないか?
Q100%グループ内の法人間で事業譲渡を行うことにしました。完全支配関係者間の取引であり、譲渡対象資産はすべて譲渡調整資産に該当し、帳簿簿価も1,000万円以上であるため、譲渡損益は繰り延べられると考えていますが留意点はありますか?
A事業譲渡時に営業権が生じる場合には、営業権の帳簿価額が0であることから、譲渡損益が実現します。
解説
事業譲渡にあたって営業権が生じる場合には、グループ法人税制の適用にあたり、帳簿価額が0であることから、譲渡益が実現し、課税が生じる点に留意が必要です(法人税法施行令第122条の14第1項第3号)。
法人税法施行令第122条の14(完全支配関係がある法人の間の取引の損益)
法第六十一条の十三第一項(完全支配関係がある法人の間の取引の損益)に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産とする。
一 法第六十一条の三第一項第一号(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)に規定する売買目的有価証券(次号及び第四項第六号において「売買目的有価証券」という。)
二 その譲渡を受けた他の内国法人(法第六十一条の十三第一項の内国法人との間に完全支配関係があるものに限る。以下この条において同じ。)において売買目的有価証券とされる有価証券(前号又は次号に掲げるものを除く。)
三 その譲渡の直前の帳簿価額(その譲渡した資産を財務省令で定める単位に区分した後のそれぞれの資産の帳簿価額とする。)が千万円に満たない資産(第一号に掲げるものを除く。)