グループ法人税制⑤-完全支配関係者間で取得予定自己株式の譲渡におけるみなし配当の取扱いを見逃していないか?
Q みなし配当事由が生じる予定の株式を取得し、みなし配当事由が生じました。完全支配関係者間で取引を行ったかどうかで違いはありますか?
A 完全支配関係者間で行われた取引の場合、みなし配当について受取配当等の益金不算入の規定が適用されます。
解説
みなし配当事由が生じる予定の株式を取得し、その後にみなし配当事由が生じた場合には、みなし配当について受取配当等の益金不算入の規定が適用されません(法人税法第23条第3項、法人税法施行令第20条)。ただし、完全支配関係者間で行われた場合には除外されていますので、益金不算入の規定が適用されます(法人税法第23条第3項括弧書き)。
法人税基本通達3-1-8(自己株式等の取得が予定されている株式等)
法第23条第3項《自己株式の取得が予定された株式に係る受取配当等の益金不算入の不適用》に規定する「その配当等の額の生ずる基因となる同号に掲げる事由が生ずることが予定されているもの」とは、法人が取得する株式等について、その株式等の取得時において法第24条第1項第5号《自己株式等の取得》に掲げる事由が生ずることが予定されているものをいうことから、例えば、上場会社等が自己の株式の公開買付けを行う場合における公開買付期間(金融商品取引法第27条の5に規定する「公開買付期間」をいう。以下3-1-8において同じ。)中に、法人が当該株式を取得したときの当該株式がこれに該当する。(平22年課法2-1「十」により追加、平27年課法2-8「五」、平29年課法2-17「十」により改正)
(注) 法人が、公開買付けを行っている会社の株式をその公開買付期間中に取得した場合において、当該株式についてその公開買付けによる買付けが行われなかったときには、その後当該株式に法第24条第1項第5項に掲げる事由が生じたことにより同項に規定する配当等の額を受けたとしても、当該配当等の額については法第23条第3項の規定の適用がないことに留意する。