グループ法人税制⑥-個人による完全支配関係がある場合における内国法人間の寄附金/受贈益の取扱いを見逃していないか?

Q A社とB社はオーナーが 100%保有する兄弟会社です。A社からB社に寄附を行なった場合、A社側で寄附金、B社側で受贈益が認識されると思いますが、それぞれ損金不算入/益金不算入となりますか?

A 損金算入(限度額まで)/益金算入となります。

解説
完全支配関係者間で行われた取引について、寄附金の損金不算入、受贈益の益金不算入が適用されるのは、法人による完全支配関係がある場合に限定されています(法人税法第37条第2項、法人税法第25条の2第1項)。したがって、本件のように個人による完全支配関係がある場合には、寄附金は損金算入(損金算入限度額まで)、受贈益は益金算入となります。

 

法人税法第37条第2項(寄附金の損金不算入)
 
2 内国法人が各事業年度において当該内国法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限る。)がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額(第二十五条の二(受贈益の益金不算入)又は第八十一条の三第一項(第二十五条の二に係る部分に限る。)(個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入)の規定を適用しないとした場合に当該他の内国法人の各事業年度の所得の金額又は各連結事業年度の連結所得の金額の計算上益金の額に算入される第二十五条の二第二項に規定する受贈益の額に対応するものに限る。)は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
 
 
法人税法第25条の2第1項(受贈益)
内国法人が各事業年度において当該内国法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限る。)がある他の内国法人から受けた受贈益の額(第三十七条(寄附金の損金不算入)又は第八十一条の六(連結事業年度における寄附金の損金不算入)の規定を適用しないとした場合に当該他の内国法人の各事業年度の所得の金額又は各連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される第三十七条第七項(第八十一条の六第六項において準用する場合を含む。)に規定する寄附金の額に対応するものに限る。)は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。