非上場株式の評価㉔-評価対象会社が直前期に合併を行っていて、合併前後で会社規模や主たる業種目に変化がある場合に、純資産価額方式における営業権の計算上、平均利益金額を合併法人の直前期の利益で計算していないか?
Q評価対象会社は直前期に合併を行っており、合併の前後で会社規模や主たる業種目が変化しています。純資産価額方式を適用して評価する際に、営業権の平均利益金額は直前期の利益として計算していますが問題はありますか?
A合併法人の直前期利益には、被合併法人の消滅事業年度の利益が含まれていません。合併後から直前期末までの利益金額が合併法人の利益水準として合理的であれば、合併後から直前期までの期間を12ヶ月分に調整して平均利益金額とすることが考えられます。
解説
合併後から直前期までの期間にもよりますが、合併後の利益水準を12ヶ月分に調整して平均利益金額とすることが合理的であると考えます。ただし、合併後から直前期までの期間が短すぎる場合や、売上の増減に季節性のある業種等により、合併後の利益水準が合併法人の適正な利益水準を表していない場合には、合併法人の直前期利益と、被合併法人の消滅事業年度の利益を合算して平均利益金額とすることも考えられます。
財産評価基本通達165(営業権の評価)
営業権の価額は、次の算式によって計算した金額によって評価する。(平11課評2-12外・平16課評2-7外・平20課評2-5外改正)
平均利益金額×0.5-標準企業者報酬額-総資産価額 × 0.05 =超過利益金額
超過利益金額×営業権の持続年数(原則として10年とする。)に応ずる基準年利率による複利年金現価率=営業権の価額
(注) 医師、弁護士等のようにその者の技術、手腕又は才能等を主とする事業に係る営業権で、その事業者の死亡と共に消滅するものは、評価しない。
財産評価基本通達166(平均利益金額等の計算)
前項の「平均利益金額」等については、次による。(昭41直資3-19・平16課評2-7外・平20課評2-5外改正)
(1) 平均利益金額
平均利益金額は、課税時期の属する年の前年以前3年間(法人にあっては、課税時期の直前期末以前3年間とする。)における所得の金額の合計額の3分の1に相当する金額(その金額が、課税時期の属する年の前年(法人にあっては、課税時期の直前期末以前1年間とする。)の所得の金額を超える場合には、課税時期の属する年の前年の所得の金額とする。)とする。この場合における所得の金額は、所得税法第27条((事業所得))第2項に規定する事業所得の金額(法人にあっては、法人税法第22条第1項に規定する所得の金額に損金に算入された繰越欠損金の控除額を加算した金額とする。)とし、その所得の金額の計算の基礎に次に掲げる金額が含まれているときは、これらの金額は、いずれもなかったものとみなして計算した場合の所得の金額とする。
イ 非経常的な損益の額
ロ 借入金等に対する支払利子の額及び社債発行差金の償却費の額
ハ 青色事業専従者給与額又は事業専従者控除額(法人にあっては、損金に算入された役員給与の額)
(2) 標準企業者報酬額
標準企業者報酬額は、次に掲げる平均利益金額の区分に応じ、次に掲げる算式により計算した金額とする。
平均利益金額の区分 | 標準企業者報酬額 |
---|---|
1億円以下 1億円超 3億円以下 3億円超 5億円以下 5億円超 |
平均利益金額 x 0.3 + 1,000万円 平均利益金額 x 0.2 + 2,000万円 平均利益金額 x 0.1 + 5,000万円 平均利益金額 x 0.05 + 7,500万円 |
(注) 平均利益金額が5,000万円以下の場合は、標準企業者報酬額が平均利益金額の2分の1以上の金額となるので、165((営業権の評価))に掲げる算式によると、営業権の価額は算出されないことに留意する。
(3) 総資産価額
総資産価額は、この通達に定めるところにより評価した課税時期(法人にあっては、課税時期直前に終了した事業年度の末日とする。)における企業の総資産の価額とする。
関連記事
非上場株式の評価-評価対象会社が直前期に合併を行っていて、合併前後で会社規模や主たる業種目に変化がある場合に、類似業種比準方式(純資産要素のみを使用する比準要素数1の会社とする)を適用していないか?