グループ法人税制⑧-完全支配関係者間での非適格合併においては譲渡損益調整資産を帳簿価額で引継ぐ取扱いを見逃していないか?
Q 弊社は完全支配関係にあるグループ会社を合併します。金銭対価を支払うため非適格合併となりますが、グループ法人税制の対象となる譲渡損益調整資産についても時価で引継ぐことになりますか?
A 帳簿価額で引継ぎます。
解説
完全支配関係間での非適格合併の場合、合併法人が引継ぐ譲渡損益調整資産については、譲渡益は取得価額に算入せず、譲渡損は取得価額に算入する、つまり帳簿価額で引継ぐことになります(法人税法第61条の13第7項)。
グループ法人税制において、譲渡損益調整資産を時価で譲渡し、譲渡損益の繰延対象となるのは譲渡法人側ですが、譲渡法人である被合併法人は合併の日の前日に消滅してしまいます。仮に譲渡損益を繰り延べた場合には課税する機会を失ってしまうため、合併法人が帳簿価額で引継ぐ取扱いとなっています。
法人税法第61条の13第7項(完全支配関係がある法人の間の取引の損益)
7 適格合併に該当しない合併に係る被合併法人が当該合併による譲渡損益調整資産の移転につき第一項の規定の適用を受けた場合には、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額に相当する金額は当該合併に係る合併法人の当該譲渡損益調整資産の取得価額に算入しないものとし、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡損失額に相当する金額は当該合併法人の当該譲渡損益調整資産の取得価額に算入するものとする。