グループ法人税制⑩-完全支配関係者間でのリース取引による譲渡損益の計上と繰延処理を見逃していないか?

Q 100%グループ内の法人間でリース契約を締結し、機械装置のリース取引を行う予定ですが、留意事項があれば教えてくれますか?(譲渡直前の機械装置の帳簿価額は1,000万円以上)

A ファイナンスリース取引に該当する場合には、賃貸人に譲渡損益が生じ、当該譲渡損益はグループ法人税制により繰り延べられます。

解説
法人がファイナンスリース契約によるリース取引を行った場合には、賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があったものとして譲渡損益を認識します(法人税法第64条の2第1項)。完全支配関係者間でのファイナンスリース取引においては、リース資産が譲渡損益調整資産に該当する場合には、賃貸人側で譲渡損益を認識したうえで、譲渡損益の繰延処理を行います。
実務上は、リース契約がファイナンスリース取引に該当するかどうかの判断が重要となります。

ファイナンスリース取引とは、次に掲げる要件に該当するものをいいます(法人税法第64条の2第3項)。
一 リース契約に基づくリース期間の途中でその解除することができないものであること
二 当該リース契約に基づいて使用するリース資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること 

 

法人税法第64条の2(リース取引に係る所得の金額の計算)
内国法人がリース取引を行つた場合には、そのリース取引の目的となる資産(以下この項において「リース資産」という。)の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があつたものとして、当該賃貸人又は賃借人である内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。
2 内国法人が譲受人から譲渡人に対する賃貸(リース取引に該当するものに限る。)を条件に資産の売買を行つた場合において、当該資産の種類、当該売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、当該資産の売買はなかつたものとし、かつ、当該譲受人から当該譲渡人に対する金銭の貸付けがあつたものとして、当該譲受人又は譲渡人である内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。
3 前二項に規定するリース取引とは、資産の賃貸借(所有権が移転しない土地の賃貸借その他の政令で定めるものを除く。)で、次に掲げる要件に該当するものをいう。
一 当該賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること。
二 当該賃貸借に係る賃借人が当該賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること。
4 前項第二号の資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているかどうかの判定その他前三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 

国税庁 質疑応答事例(完全支配関係のある法人間でリース取引を行なった場合の譲渡損益の計上について)