グループ法人税制⑯-譲渡損益調整資産の取引を行った場合の譲渡法人、譲受法人の通知義務について確認を怠っていないか?

Q A社とB社は100%グループ間ではありますが、業種業態も違うため、通常は全く取引がありません。この度、譲渡損益調整資産の譲渡取引を行うことになりましたが、譲渡損益の繰延事由が生じることや戻入事由が生じた際など、2社間でどのように把握することになりますか?

A 譲渡法人、譲受法人の双方に通知義務があります。

解説
完全支配関係者で譲渡損益調整資産の譲渡取引が行われた場合には、譲渡法人が「譲渡損益調整資産該当資産」である旨、減価償却資産である場合に簡便法を採用する場合にはその旨を譲受法人に通知しなければなりません(法人税法施行令第122条の14第15項)。譲受法人はその通知を受けた後、当該資産が売買目的有価証券に該当する場合にはその旨、譲渡法人から簡便法を採用する旨の通知を受けた場合には、譲受法人において減価償却資産又は繰延資産に該当するようであれば、当該資産について適用する耐用年数又は当該資産の支出の効果の及ぶ期間を通知しなければなりません(法人税法施行令第122条の14第16項)。
また、譲受法人は繰延譲渡損益の戻入事由が生じた場合には、その旨及びその生じた日を、当該事由が生じた事業年度終了後、譲渡法人に通知しなければなりません(法人税法施行令第122条の14第17項)。

 
法人税法施行令第122条の14第15項、16項、17項
 
15 内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)がその有する固定資産、土地(土地の上に存する権利を含み、固定資産に該当するものを除く。)、有価証券、金銭債権及び繰延資産(第一項第一号又は第三号に掲げるものを除く。以下この項において「譲渡損益調整資産該当資産」という。)を他の内国法人(当該内国法人との間に完全支配関係がある普通法人又は協同組合等に限る。)に譲渡した場合には、その譲渡の後遅滞なく、当該他の内国法人に対し、その譲渡した資産が譲渡損益調整資産該当資産である旨(当該資産につき第六項の規定の適用を受けようとする場合には、その旨を含む。)を通知しなければならない。
16 前項の通知を受けた同項の他の内国法人(適格合併に該当しない合併により同項の資産の移転を受けたものを除く。)は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる事項を、当該通知を受けた後遅滞なく、当該通知をした内国法人(当該内国法人が法第六十一条の十三第五項に規定する適格合併により解散した後は、当該適格合併に係る合併法人)に通知しなければならない。
一 前項の通知に係る資産が第一項第二号に掲げる資産に該当する場合 その旨
二 前項の通知に係る資産が当該他の内国法人において減価償却資産又は第六項に規定する繰延資産に該当する場合において、当該資産につき同項の規定の適用を受けようとする旨の通知を受けたとき 当該資産について適用する耐用年数又は当該資産の支出の効果の及ぶ期間
17 譲受法人は、譲渡損益調整資産につき第四項各号に掲げる事由(当該譲渡損益調整資産につき第六項の規定の適用を受けようとする旨の通知を受けていた場合には、第四項第三号又は第四号に掲げる事由を除く。)が生じたときは、その旨(当該事由が同項第三号又は第四号に掲げる事由である場合にあつては、損金の額に算入されたこれらの号の償却費の額を含む。)及びその生じた日を、当該事由が生じた事業年度終了後遅滞なく、その譲渡損益調整資産の譲渡をした内国法人(当該内国法人が法第六十一条の十三第五項に規定する適格合併により解散した後は、当該適格合併に係る合併法人)に通知しなければならない