Q 個人財産を会社に現物出資して自社株の納税猶予の適用を受けようと思いますが、留意点はありますか?
A 現物出資規制があります。
解説
承継対象会社が後継者及びその特別関係者から3年以内に取得した現物出資(贈与含む)された資産の割合が、承継対象会社の資産の価額の70%以上である場合は、自社株の納税猶予の適用はできません(租税特別措置法第70条の7第29項、第70条の7の5第24項、第70条の7の2第30項、第70条の7の6第25項)。
分子及び分母は財産評価通達の定めにより算定した価額となります(租税特別措置法通達70の7-50、70の7の2−54)。
租税特別措置法第70条の7第29項(非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除)
29 第一項の対象受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が同項の規定の適用を受けようとする経営承継受贈者及び当該経営承継受贈者と政令で定める特別の関係がある者から現物出資又は贈与により取得をした資産(同項の贈与前三年以内に取得をしたものに限る。第二号において「現物出資等資産」という。)がある場合において、同項の贈与があつた時における、第一号に掲げる金額に対する第二号に掲げる金額の割合が百分の七十以上であるときは、当該経営承継受贈者については、同項の規定は、適用しない。
一 当該認定贈与承継会社の資産の価額の合計額
二 現物出資等資産の価額(当該認定贈与承継会社が第一項の贈与があつた時において当該現物出資等資産を有していない場合には、当該贈与があつた時に有しているものとしたときにおける当該現物出資等資産の価額)の合計額
租税特別措置法第70条の7の5第24項(非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例)
24 第七十条の七第二十九項の規定は、第一項の特例対象受贈非上場株式等に係る特例認定贈与承継会社が同項の規定の適用を受けようとする特例経営承継受贈者及び当該特例経営承継受贈者と政令で定める特別の関係がある者から現物出資又は贈与により財産を取得した場合について準用する。
租税特別措置法第70条の7の2第30項(非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除)
30 第一項の対象非上場株式等に係る認定承継会社が同項の規定の適用を受けようとする経営承継相続人等及び当該経営承継相続人等と政令で定める特別の関係がある者から現物出資又は贈与により取得をした資産(同項の相続の開始前三年以内に取得をしたものに限る。第二号において「現物出資等資産」という。)がある場合において、当該相続の開始の時における、第一号に掲げる金額に対する第二号に掲げる金額の割合が百分の七十以上であるときは、当該経営承継相続人等については、同項の規定は、適用しない。
一 当該認定承継会社の資産の価額の合計額
二 現物出資等資産の価額(当該認定承継会社が当該相続の開始の時において当該現物出資等資産を有していない場合には、当該相続の開始の時に有しているものとしたときにおける当該現物出資等資産の価額)の合計額
租税特別措置法第70条の7の6第25項(非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例)
25 第七十条の七の二第三十項の規定は、第一項の特例対象非上場株式等に係る特例認定承継会社が同項の規定の適用を受けようとする特例経営承継相続人等及び当該特例経営承継相続人等と政令で定める特別の関係がある者から現物出資又は贈与により財産を取得した場合について準用する。
法令解釈通達
措置法第70条の7の2((非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除))関係
(措置法第70条の7第29項各号の価額の意義)
70の7-50 措置法第70条の7第29項第1号の「認定贈与承継会社の資産の価額」及び同項第2号の「現物出資等資産の価額」は、対象贈与があった時における評価基本通達の定めにより算定した価額をいうことに留意する。(平21課資2-7追加、平22課資2-14、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25、平29課資2-14、平30課資2-9改正)
(注) 対象贈与があった時に措置法第70条の7第29項に規定する現物出資等資産(以下70の7-50において「現物出資等資産」という。)を認定贈与承継会社が有していない場合でも、当該現物出資等資産を有しているものとして上記により措置法第70条の7第29項第2号の価額を算定することに留意する。
措置法第70条の7の2((非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除))関係
(措置法第70条の7の2第30項各号の価額の意義)
70の7の2-54 措置法第70条の7の2第30項各号の価額の意義については、70の7-50((措置法第70条の7第29項各号の価額の意義))を準用する。
この場合において、70の7-50中「措置法第70条の7第29項」とあるのは「措置法第70条の7の2第30項」と、「認定贈与承継会社」とあるのは「認定承継会社」と、「対象贈与」とあるのは「相続の開始」となることに留意する。(平21課資2-7追加、平22課資2-14、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25、平29課資2-14、平30課資2-9改正)