事業承継税制⑪-納税猶予適用後の適格合併で取消し事由に該当しない場合でも、金銭交付に対応する分は猶予税額を納付する点を見逃していないか?
Q 自社株の納税猶予制度適用後に、適用会社が合併により消滅しましたが、猶予継続要件を充足しています。1株未満の端数が生じたため、合併法人から金銭交付を受けましたが留意点はありますか?
A 金銭交付分に対応する猶予税額は納付することになります。
解説
合併により1株未満の端数が生じて金銭交付を受けたとしても、継続要件を充足すれば納税猶予の適用は継続されます。ただし、受け取った金銭に対応する猶予税額は納付する必要がある点に留意が必要です(租税特別措置法第70条の7第4項第2号)。
租税特別措置法第70条の7第4項第2号(非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除)
4 経営贈与承継期間内に第一項の規定の適用を受ける経営承継受贈者又は同項の対象受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社について次の表の各号の上欄に掲げる場合に該当することとなつた場合には、当該各号の中欄に掲げる金額に相当する贈与税については、同項の規定にかかわらず、当該各号の下欄に掲げる日から二月を経過する日(当該各号の下欄に掲げる日から当該二月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があつたことを知つた日の翌日から六月を経過する日)をもつて同項の規定による納税の猶予に係る期限とする。
一 当該経営承継受贈者がその有する当該対象受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社の代表権を有しないこととなつた場合において、当該経営承継受贈者が当該対象受贈非上場株式等の一部につき第一項又は第七十条の七の五第一項の規定の適用に係る贈与をしたとき。
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猶予中贈与税額のうち、当該贈与をした対象受贈非上場株式等の数又は金額に対応する部分の額として政令で定めるところにより計算した金額
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当該贈与をした日
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二 当該認定贈与承継会社が適格合併をした場合又は適格交換等をした場合において、当該対象受贈非上場株式等に係る経営承継受贈者が、当該適格合併をした場合における合併又は当該適格交換等をした場合における株式交換等に際して、吸収合併存続会社等(会社法第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社又は同法第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社をいう。次項の表の第三号の中欄及び第十六項第三号において同じ。)及び他の会社(当該認定贈与承継会社が株式交換等により他の会社の株式交換完全子会社等となつた場合における当該他の会社をいう。)の株式等以外の金銭その他の資産の交付を受けたとき。
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猶予中贈与税額のうち、当該金銭その他の資産の額に対応する部分の額として政令で定めるところにより計算した金額
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当該合併又は当該株式交換等がその効力を生じた日
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[措置法第70条の7((非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除))関係]
70の7−29(納税猶予税額の一部について納税猶予の期限が確定する場合の贈与税の額の計算)
(2) 同条第4項の表の第2号の規定に該当する場合
(注)
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- 1 上記の分子の金銭等に、合併又は株式交換等(株式交換又は株式移転をいう。以下70の7の2-31までにおいて同じ。)に際して交付すべき吸収合併存続会社等又は措置法第70条の7第4項の表の第2号の他の会社の株式に1株未満の端数が生じたため交付されたものがある場合の措置法規則第23条の9第20項第5号又は同条第21項第5号の要件の判定に当たっては、当該交付された金銭等は同条第20項第5号又は同条第21項第5号の交付しなければならない株式に含まれるものとして判定することに留意する。
- 2 「吸収合併存続会社等」とは、措置法第70条の7第4項の表の第2号に規定する吸収合併存続会社等をいう。以下70の7-29において同じ。
- 3 「株式交換完全子会社等」とは、措置法第70条の7第3項第6号に規定する株式交換完全子会社等をいう。以下70の7-30までにおいて同じ。
- 4 「合併前純資産額」とは、合併がその効力を生ずる日の属する年の前年の12月31日における認定贈与承継会社の純資産額(資産の額から負債の額を控除した残額をいう。「承継純資産額」という場合を除き、この70の7-29において同じ。)をいう。以下70の7-29において同じ。
- 5 「交換等前純資産額」とは、株式交換等がその効力を生ずる日の属する年の前年の12月31日における認定贈与承継会社の純資産額をいう。以下70の7-29において同じ。
- 6 上記4及び5の「純資産額」を算定する場合における各資産及び各負債の価額は、評価基本通達の定めにより算定した価額となることに留意する。