事業承継税制⑬-納税猶予適用後に株式会社から合同会社へ組織変更を行った場合の取消し事由を見逃していないか?

Q 自社株の納税猶予制度適用後に、適用会社が株式会社から合同会社へ組織変更を行った場合に、猶予を継続できますか?

A できません。

解説
納税猶予制度適用後に、株式会社から持分会社(合資会社、合名会社、合同会社)へ組織変更することはできません。逆に、持分会社から株式会社への変更もできません(租税特別措置法第70条の7第3項第7号、租税特別措置法第70条の7第5項第5号)。
ただし、持分会社である合同会社から合資会社や合名会社への変更は可能です(措置法通達70の7-28)。

 

租税特別措置法第70条の7第3項第7号

3 経営贈与承継期間内に第一項の規定の適用を受ける経営承継受贈者又は同項の対象受贈非上場株式等(合併により当該対象受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が消滅した場合その他の財務省令で定める場合には、当該対象受贈非上場株式等に相当するものとして財務省令で定めるもの。以下この条において同じ。)に係る認定贈与承継会社について次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなつた場合には、同項の規定にかかわらず、当該各号に定める日から二月を経過する日(当該各号に定める日から当該二月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。以下この条において同じ。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があつたことを知つた日の翌日から六月を経過する日)をもつて同項の規定による納税の猶予に係る期限とする。

七 第五項の表の第五号の上欄又は同表の第六号の上欄に掲げる場合 それぞれ同表の第五号の下欄又は同表の第六号の下欄に掲げる日

 

租税特別措置法第70条の7第5項第5号

5 経営贈与承継期間の末日の翌日から猶予中贈与税額に相当する贈与税の全部につき第一項、この項、第十一項、第十二項又は第十四項の規定による納税の猶予に係る期限が確定する日までの間において、第一項の規定の適用を受ける経営承継受贈者又は同項の対象受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社について次の表の各号の上欄に掲げる場合に該当することとなつた場合には、当該各号の中欄に掲げる金額に相当する贈与税については、同項の規定にかかわらず、当該各号の下欄に掲げる日から二月を経過する日(当該各号の下欄に掲げる日から当該二月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があつたことを知つた日の翌日から六月を経過する日)をもつて同項の規定による納税の猶予に係る期限とする。

六 当該認定贈与承継会社が組織変更をした場合(当該組織変更に際して当該認定贈与承継会社の株式等以外の財産の交付があつた場合に限る。)
猶予中贈与税額のうち、当該組織変更に際して認定贈与承継会社から交付された当該認定贈与承継会社の株式等以外の財産の価額に対応する部分の額として政令で定めるところにより計算した金額
当該組織変更がその効力を生じた日
 
[措置法第70条の7((非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除))関係]
 
70の7-28(組織変更をした場合等の意義)
措置法第70条の7第5項の表の第6号上欄に掲げる「組織変更」とは、会社法第2条第26号に規定する組織変更をいうのであるから、持分会社の中で会社の種類を変更した場合(例えば、合名会社から合資会社への変更など)は含まれないことに留意する。 また、同号下欄の「組織変更がその効力を生じた日」とは、組織変更計画において定めたその効力を生ずる日をいうことに留意する。(平21課資2-7追加、平22課資2-14、平29課資2-14改正)
 
 
会社法第2条第26号(定義)
二十六 組織変更 次のイ又はロに掲げる会社がその組織を変更することにより当該イ又はロに定める会社となることをいう。
イ 株式会社 合名会社、合資会社又は合同会社
ロ 合名会社、合資会社又は合同会社 株式会社