事業承継税制⑰-上場株式を保有している場合の留意点を見逃していないか?

Q 自社株の納税猶予の適用について、対象会社が上場株式を保有している場合に留意点があれば教えてくれますか?

A 対象会社(代表者及び代表者の特別関係者を含む)が3%以上保有する場合には、猶予税額に影響があります。

解説
対象会社、対象会社の代表者、代表者の特別関係者(※)が保有する上場株式の保有割合が3%以上である場合には、上場株式の価値を除外して納税猶予額を計算する必要があります。ただし、対象会社が資産保有型会社に該当しない場合には、除外して計算する必要はありません。形式的には資産保有型会社に該当しており、事業実態要件を充足して納税猶予の対象となっている対象会社については、上場株式の価値を除外して納税猶予額を計算する必要がありますので、留意が必要です(租税特別措置法第70条の7第2項第5号イ、租税特別措置法施行令第40条の8第12項第1号)。

なお、形式的には資産保有型会社に該当しており、事業実態要件を充足して納税猶予の対象となる対象会社についても、

※特別関係者の範囲は、租税特別措置法施行令第40条の8第7項に規定されている者となります。

 
租税特別措置法第70条の7第2項第5号イ
 
五 納税猶予分の贈与税額 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じイ又はロに定める金額をいう。
イ ロに掲げる場合以外の場合 前項の規定の適用に係る対象受贈非上場株式等の価額(当該対象受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社又は当該認定贈与承継会社の特別関係会社であつて当該認定贈与承継会社との間に支配関係がある法人(イにおいて「認定贈与承継会社等」という。)が会社法第二条第二号に規定する外国会社(当該認定贈与承継会社の特別関係会社に該当するものに限る。)その他政令で定める法人の株式等(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十四項に規定する投資口を含む。イにおいて同じ。)を有する場合には、当該認定贈与承継会社等が当該株式等を有していなかつたものとして計算した価額。ロにおいて同じ。)を前項の経営承継受贈者に係るその年分の贈与税の課税価格とみなして、相続税法第二十一条の五及び第二十一条の七の規定(第七十条の二の四及び第七十条の二の五の規定を含む。)を適用して計算した金額
ロ 前項の規定の適用に係る対象受贈非上場株式等が相続税法第二十一条の九第三項(第七十条の二の六第一項、第七十条の二の七第一項(第七十条の二の八において準用する場合を含む。)又は第七十条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定の適用を受けるものである場合 当該対象受贈非上場株式等の価額を前項の経営承継受贈者に係るその年分の贈与税の課税価格とみなして、同法第二十一条の十二及び第二十一条の十三の規定を適用して計算した金額

 

租税特別措置法施行令第40条の8第12項第1号
 
12 法第七十条の七第二項第五号イに規定する政令で定める法人は、認定贈与承継会社、当該認定贈与承継会社の代表権を有する者及び当該代表権を有する者と第七項各号に掲げる特別の関係がある者が有する次の各号(当該認定贈与承継会社が資産保有型会社等に該当しない場合にあつては、第一号を除く。以下この項において同じ。)に掲げる法人の株式等(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十四項に規定する投資口を含む。第一号において同じ。)の数又は金額が、当該各号に定める数又は金額である場合における当該法人とする。
一 法人(医療法人を除く。)の株式等(非上場株式等を除く。) 当該法人の発行済株式(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人にあつては、発行済みの同条第十四項に規定する投資口)又は出資の総数又は総額の百分の三以上に相当する数又は金額
二 医療法人の出資 当該医療法人の出資の総額の百分の五十を超える金額

 

 租税特別措置法施行令第40条の8第7項
7 法第七十条の七第二項第一号ハに規定する政令で定める特別の関係がある会社は、同号に規定する円滑化法認定を受けた会社、当該円滑化法認定を受けた会社の代表権を有する者及び当該代表権を有する者と次に掲げる特別の関係がある者(第六号ハに掲げる会社を除く。)が有する他の会社(会社法第二条第二号に規定する外国会社を含む。)の株式等に係る議決権の数の合計が、当該他の会社に係る総株主等議決権数の百分の五十を超える数である場合における当該他の会社とする。
一 当該代表権を有する者の親族
二 当該代表権を有する者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
三 当該代表権を有する者の使用人
四 当該代表権を有する者から受ける金銭その他の資産によつて生計を維持している者(前三号に掲げる者を除く。)
五 前三号に掲げる者と生計を一にするこれらの者の親族
六 次に掲げる会社
イ 当該代表権を有する者(当該円滑化法認定を受けた会社及び前各号に掲げる者を含む。以下この号において同じ。)が有する会社の株式等に係る議決権の数の合計が、当該会社に係る総株主等議決権数の百分の五十を超える数である場合における当該会社
ロ 当該代表権を有する者及びイに掲げる会社が有する他の会社の株式等に係る議決権の数の合計が、当該他の会社に係る総株主等議決権数の百分の五十を超える数である場合における当該他の会社
ハ 当該代表権を有する者及びイ又はロに掲げる会社が有する他の会社の株式等に係る議決権の数の合計が、当該他の会社に係る総株主等議決権数の百分の五十を超える数である場合における当該他の会社