事業承継税制⑮-外国子会社株式の価値を除外して納税猶予額を計算する方法について見逃している点はないか?
Q 自社株の納税猶予の適用について、対象会社が外国子会社株式を保有している場合に、外国子会社株式の価値を除外して納税猶予額を計算する際の具体的な計算方法を教えてくれますか?
A 財産評価基本通達による評価に一定の調整を行います。
解説
外国子会社が対象会社の特別関係会社に該当する場合には、外国子会社株式の価値を除外して納税猶予額を計算することになります。純資産価額方式では、外国子会社株式の時価評価額を除外して株価を計算し、納税猶予額を計算します。類似業種比準方式では、対象会社の1株当たりの利益の計算上、外国子会社から受けた配当金額を除外するとともに、対象会社の1株当たりの純資産の計算上、認定会社が有する外国子会社株式の価額(簿価)を控除して株価を計算し、納税猶予額を算定します(措置法基本通達70の7−14)。
[措置法第70条の7((非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除))関係]
70の7−14(認定贈与承継会社等が外国会社、上場会社又は医療法人の株式等を有する場合の納税猶予分の贈与税額の計算の基となる対象受贈非上場株式等の価額)
対象受贈非上場株式等について措置法第70条の7第1項の規定の適用を受ける場合において、贈与の時に、対象受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社又は当該認定贈与承継会社の特別関係会社(措置法令第40条の8第7項の特別の関係がある会社をいう。以下70の7-14の2までにおいて同じ。)であって当該認定贈与承継会社との間に措置法第70条の7第2項第1号ホに規定する支配関係(以下70の7の4-6までにおいて「支配関係」という。)がある法人(以下70の7-14の2までにおいて「特別支配関係法人」という。)が会社法第2条第2号に規定する外国会社(当該認定贈与承継会社の特別関係会社に該当するものに限る。)、措置法令第40条の8第12項第1号に掲げる法人(当該認定贈与承継会社が措置法第70条の7第2項第8号に規定する資産保有型会社又は同項第9号に規定する資産運用型会社(以下「資産保有型会社等」という。)に該当する場合に限る。)又は措置法令第40条の8第12項第2号に掲げる医療法人(以下70の7-14の2までにおいて「外国会社等」という。)の株式等(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和26年法律第198号)第2条第14項に規定する投資口を含む。)を有するときにおける措置法第70条の7第2項第5号に規定する納税猶予分の贈与税額(以下70の7の3-1までにおいて「納税猶予分の贈与税額」という。)の計算の基となる当該対象受贈非上場株式等の価額は、当該認定贈与承継会社又は当該認定贈与承継会社の特別支配関係法人の株式等の価額の計算において適用する評価基本通達の定めを基礎とし、次に掲げる場合の区分により計算した価額となることに留意する。
この場合において、「当該外国会社等の株式等を有していなかったものとして計算した」価額とは、当該対象受贈非上場株式等の価額を評価基本通達の定めにより計算した価額を基礎とし、当該認定贈与承継会社又は当該認定贈与承継会社の特別支配関係法人が有していなかったものとされる外国会社等の株式等の価額及び当該外国会社等から受けた配当金に相当する金額を除外したところで計算した場合の当該株式等の価額とする。(平22課資2-14追加、平23課資2-8、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25、平30課資2-9改正)
(1) 当該認定贈与承継会社が外国会社等の株式等を有する場合
当該認定贈与承継会社が当該外国会社等の株式等を有していなかったものとして計算した価額
(注) 上記価額の計算に当たっては、当該外国会社等との間に支配関係がある他の外国会社等の株式等について考慮する必要がないことに留意する。
(2) 当該認定贈与承継会社の特別支配関係法人が外国会社等の株式等を有する場合(当該特別支配関係法人が上記(1)の認定贈与承継会社が有する株式等に係る外国会社等である場合を除く。)
当該特別支配関係法人が当該外国会社等の株式等を有していなかったものとして計算した当該特別支配関係法人の株式等の価額を基に当該認定贈与承継会社の株式等の価額を計算して得た価額
(注) 上記価額の計算に当たっては、当該外国会社等との間に支配関係がある他の外国会社等の株式等について考慮する必要がないことに留意する。