事業承継税制⑲-納税猶予適用後に資産保有型会社又は資産運用型会社に該当した場合でも、許容される事由と期間を見逃していないか?
Q 自社株の納税猶予の適用中に、対象会社が資産保有型会社又は資産運用型会社に該当した場合には、すぐに納税猶予の取消し事由となりますか?
A 該当事由によっては6ヶ月の除外期間が設けられているため、すぐに納税猶予の取消しとはなりません。
解説
納税猶予適用後に、対象会社が資産保有型会社又は資産運用型会社に該当した場合であっても、該当した事由が、事業活動のために必要な資金の借入をした場合、事業用資産の譲渡や事業用資産に生じた損害による保険金の取得の場合など、事業活動上生じた偶発的なものである場合には、当該事由が生じた日から6ヶ月を経過する日までの期間は、資産保有型会社又は資産運用型会社であることが許容されます(租税特別措置法施行令第40条の8第19項、第22項、租税特別措置法施行規則第23条の9第14項、第16項)。
なお、都道府県へ提出する年次報告書、税務署へ提出する継続届出書の添付書類に、該当事由や解消時期等を記載する必要がある点には留意が必要です.
租税特別措置法施行令第40条の8第19項
19 法第七十条の七第二項第八号に規定する政令で定める期間は、認定贈与承継会社の同条第一項の規定の適用に係る贈与の日の属する事業年度の直前の事業年度の開始の日から当該認定贈与承継会社に係る経営承継受贈者の同条第二項第七号ロに規定する猶予中贈与税額(以下この条において「猶予中贈与税額」という。)に相当する贈与税の全部につき法第七十条の七第一項、第三項から第五項まで、第十一項、第十二項又は第十四項の規定による納税の猶予に係る期限が確定する日までの期間とする。ただし、認定贈与承継会社の事業活動のために必要な資金の借入れを行つたことその他の財務省令で定める事由が生じたことにより当該期間内のいずれかの日において当該認定贈与承継会社に係る特定資産の割合(同条第二項第八号イ及びハに掲げる金額の合計額に対する同号ロ及びハに掲げる金額の合計額の割合をいう。)が百分の七十以上となつた場合には、当該事由が生じた日から同日以後六月を経過する日までの期間を除くものとする。
租税特別措置法施行規則第23条の9第14項
14 施行令第四十条の八第十九項ただし書に規定する財務省令で定める事由は、事業活動のために必要な資金を調達するための資金の借入れ、その事業の用に供していた資産の譲渡又は当該資産について生じた損害に基因した保険金の取得その他事業活動上生じた偶発的な事由でこれらに類するものとする。
租税特別措置法施行令第40条の8第22項
22 法第七十条の七第二項第九号に規定する政令で定める期間は、認定贈与承継会社の同条第一項の規定の適用に係る贈与の日の属する事業年度の直前の事業年度の開始の日から当該認定贈与承継会社に係る経営承継受贈者の猶予中贈与税額に相当する贈与税の全部につき同項又は同条第三項から第五項まで、第十一項、第十二項若しくは第十四項の規定による納税の猶予に係る期限が確定する日の属する事業年度の直前の事業年度終了の日までの期間とする。ただし、認定贈与承継会社の事業活動のために必要な資金を調達するために特定資産を譲渡したことその他の財務省令で定める事由が生じたことにより当該期間内に終了するいずれかの事業年度における当該認定贈与承継会社に係る総収入金額に占める特定資産の運用収入の割合が百分の七十五以上となつた場合には、当該事業年度の開始の日から当該事業年度終了の日の翌日以後六月を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間を除くものとする。
租税特別措置法施行規則第23条の9第16項
16 施行令第四十条の八第二十二項ただし書に規定する財務省令で定める事由は、事業活動のために必要な資金を調達するための法第七十条の七第二項第八号ロに規定する特定資産(第四十七項第四号イ、次条第四十三項第四号イ及び第五十項第一号イにおいて「特定資産」という。)の譲渡その他事業活動上生じた偶発的な事由でこれに類するものとする。