非上場株式の公益財団への寄附①-措置法40条による寄附を行った場合の寄附金控除の金額を時価で計算していないか?
Q措置法40条により、公益財団法人に自社株式を寄附しました。所得税確定申告における寄附金控除の計算を寄附証明書に記載の株式時価で計算できますか?
A計算できません。寄附金控除の金額は寄附時の株式時価ではなく、取得価額となります。「実際の取得価額<概算取得費」となる場合は、概算取得費で計算する方が有利です。
解説
寄附金控除を適用する場合の対象となる寄附金額は、時価から非課税となった譲渡所得を除いて計算するため、株式の取得価額となります(措置法第40条第1項第19号)。また、譲渡所得の計算においては、株式の譲渡による収入金額の100分の5に相当する金額を当該株式の取得価額(概算取得費)とすることができるため(措置法通達37の10・37の11共-13)、いずれが有利な価額を選択することになります。
非上場株式は、取得時よりも大幅に価額が上昇していることが多いため、概算取得費を賜与した方が有利な場合が多いと考えます。
租税特別措置法第40条第1項第19号(国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税)
第一項の規定の適用を受ける財産の贈与又は遺贈について所得税法第七十八条第一項の規定又は第四十一条の十八の二若しくは第四十一条の十八の三の規定の適用がある場合におけるこれらの規定の適用については、同法第七十八条第二項中「寄附金(学校の入学に関してするものを除く。)」とあるのは「寄附金(租税特別措置法第四十条第一項(国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税)の規定の適用を受けるもののうち同項に規定する財産の贈与又は遺贈に係る山林所得の金額若しくは譲渡所得の金額で第三十二条第三項に規定する山林所得の特別控除額若しくは第三十三条第三項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除しないで計算した金額又は雑所得の金額に相当する部分及び学校の入学に関してするものを除く。)」と、第四十一条の十八の二第一項中「その寄附をした者」とあるのは「第四十条第一項の規定の適用を受けるもののうち同項に規定する財産の贈与又は遺贈に係る山林所得の金額若しくは譲渡所得の金額で所得税法第三十二条第三項に規定する山林所得の特別控除額若しくは同法第三十三条第三項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除しないで計算した金額又は雑所得の金額に相当する部分及びその寄附をした者」と、「所得税法」とあるのは「同法」とする。
措置法通達37の10・37の11共-13(株式等の取得価額) 株式等を譲渡した場合における事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費又は取得費に算入する金額は、所得税法第37条第1項《必要経費》、第38条第1項《譲渡所得の金額の計算上控除する取得費》、第48条《有価証券の譲渡原価等の計算及びその評価の方法》及び第61条《昭和27年12月31日以前に取得した資産の取得費等》の規定に基づいて計算した金額となるのであるが、譲渡をした同一銘柄の株式等について、当該株式等の譲渡による収入金額の100分の5に相当する金額を当該株式等の取得価額として事業所得の金額若しくは雑所得の金額を計算しているとき又は当該金額を譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費として計算しているときは、これを認めて差し支えないものとする。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)