株主への利益移転⑬-債務超過会社を吸収合併する場合に合併比率が算定できない場合の対応方法を見逃していないか?

Q 兄と弟がそれぞれ経営するA社とB社があり、A社の株式は兄が100%、B社の株式は弟が100%保有しています。A社を合併法人、B社を被合併法人とする合併(適格合併)を行いますが、B社が債務超過(時価純資産価額ベース)である場合に、実務上何が問題になりますか? A社とB社の発行済株式総数は100株、会社価値はA社100、B社0です。

A 適正な合併比率が算出できません。

解説
B社の時価純資産価額が債務超過である場合、B社株式の価値が0であり、合併比率が算出できません。適正な合併比率に基づかずに、弟にA社株式を交付する場合には、兄から弟へのみなし贈与課税が生じる可能性があります。

本件の場合でみなし贈与課税の問題なく合併を行うためには、合併前に弟から兄にB社株式のすべてを贈与し、兄をA社とB社の100%株主としたうえで無対価合併を行うか、合併前に弟からA社にB社株式のすべてを寄附し、100%の親子会社としてから無対価で合併することが考えられます。