株主への利益移転⑭-債務超過会社を親会社とする株式交換を行う場合に、交換比率が算定できない場合の対応方法を見逃していないか?

Q 兄と弟がそれぞれ経営するA社とB社があり、A社の株式保有割合は兄が80%、弟が20%である一方、B社の株式保有割合は兄が20%、弟が80%となっています。A社を子会社、B社を親会社とする株式交換(適格株式交換)を行いたいのですが、B社が債務超過(時価純資産価額ベース)である場合に、みなし贈与課税の問題なく株式交換を行うにはどうすればよいですか? 

A 兄と弟の2社の株主保有割合を合わせた後に無対価株式交換を行います。

解説
B社の時価純資産価額が債務超過である場合、B社株式の価値が0であり、交換比率が算出できません。適正な交換比率に基づかずに、兄と弟にB社株式を交付する場合には、株主間のみなし贈与課税が生じる可能性があります。

本件の場合でみなし贈与課税の問題なく株式交換を行うためには、株式交換前に弟から兄にB社株式の60%を贈与し、A社とB社の株主保有割合を兄80%、弟20%と合わせたうえで無対価株式交換を行うことが考えられます。株式交換前後で2社における兄と弟の株式保有割合に変化がなければ、株主間の利益移転は生じようがありません。