非上場株式の譲渡時の時価②-売買価額と税法上の時価との乖離が問題にならないケースを整理せずに実務を行っていないか?

Q 非上場株式の時価について、売買価額と税法上の時価との乖離が問題にならないケースを教えてくれますか?

A M&A、訴訟、親族外へ売却する場合には、問題にならないと考えます。

解説
売買価額の交渉に際し、売り手と買い手の双方が対等な立場で主張しあえる「純然たる第三者間」の取引においては、合意した取引価額が時価ですので、課税が生じることはありません。

売り手と買い手の双方が、対等な立場で主張しあえる関係における取引は、M&Aの場合がイメージしやすいと思います。M&A以外では、訴訟で争う場合が考えられます。

親族以外の役員、従業員、その他個人に対して株式を売却する場合や、同族会社以外の法人取引先に対して株式を売却する場合も、合意した価額と税務上の時価との乖離は問題にならないと考えます。

それ以外にも、例えば兄弟間で仲が悪く、訴訟まで発展せずとも交渉で売買価額が決定した場合においては、合意した価額と税法上の時価との乖離は問題にならないと考えます。ただし、交渉過程が見えない中で売買価額が決定した親族間の取引においては、後々当局から指摘が入る可能性があります。そのため、交渉過程を記録として残しておくなど、問題に備えた準備はしておく必要があると考えます。