非上場株式の譲渡時の時価⑦-相続税法では、時価を定義したうえで算定方法を通達で定めている点を整理せずに実務を行っていないか?
Q 非上場株式の譲渡時の時価について、相続税法における算定方法を教えてくれますか?
A 相続税法では、財産評価は「時価」によることのみ規定しています。その「時価」の評価方法を財産評価基本通達で定めています。
解説
相続税法における財産の評価は「時価」によることを規定しています(相続税法第22条)。財産評価基本通達においては、その「時価」とは不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいうことを前提として明示したうえで、その価額は、財産評価基本通達の定めによって評価した価額によることとしています(財産評価基本通達・総則1(2))。
財産評価基本通達では、「取引相場のない株式」が、上場株式、気配相場等のある株式以外として区分され、詳細に時価の算定方法が規定されています(財産評価基本通達178〜189−7)。
財産評価基本通達 総則
1(評価の原則)
財産の評価については、次による。(平3課評2-4外改正)
(1) 評価単位
財産の価額は、第2章以下に定める評価単位ごとに評価する。
(2) 時価の意義
財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法第2条《定義》第4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。
(3) 財産の評価
財産の評価に当たっては、その財産の価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮する。
財産評価基本通達178〜189−7(省略)