非上場株式の公益財団への寄附⑥-措置法40条の適用を受けた寄附株式にかかる配当金を財団の事務運営費に使用していないか?
Q上場会社の創業家は、当該上場株式の保有を個人から資産管理会社に移管しています。創業家を中心として公益財団法人(公益的事業:奨学金事業)を設立し、先代の保有する当該資産管理会社株式の一部を措置法40条を適用して寄附しました。寄附後の財団が株式を公益目的事業に供するにあたり、留意点はありますか?
A株式寄附後に、当該株式にかかる配当金が奨学金として使用されていることを紐づけておくことが重要です。
解説
措置法40条の適用要件を充足するためには、寄附財産を公益目的事業に直接供する必要があります。寄附株式を公益目的事業に直接供するということは、当該株式の配当金を公益目的事業に使用することになるわけですが、公益目的事業が奨学金事業であれば、配当金の資金使途を奨学金に紐付けて使用すべきであると考えます。実務上は配当金受取口座と事務運営口座とを別に設けて資金使途を管理し、配当金口座から奨学金に充当する運用を行うことで、公益目的事業に供していることを明確にすることができます。
(措令第25条の17第5項第2号関係)
13(財産等が公益目的事業にの用に直接供されるかどうかの判定)
措令第25条の17第5項第2号に規定する財産等が贈与又は遺贈に係る公益目的事業の用に直接供されるかどうかの判定は、原則として、当該財産等そのものが、当該贈与又は遺贈を受けた公益法人等の当該贈与又は遺贈に係る公益目的事業の用に直接供されるかどうかにより行うことに留意する。
ただし、株式、著作権などのようにその財産の性質上その財産を公益目的事業の用に直接供することができないものである場合には、各年の配当金、印税収入などその財産から生ずる果実の全部が当該公益目的事業の用に供されるかどうかにより、当該財産が当該公益目的事業の用に直接供されるかどうかを判定して差し支えないものとして取り扱う。この場合において、各年の配当金、印税収入などの果実の全部が当該公益目的事業の用に供されるかどうかは、例えば、12の(1)のト((公益の増進に著しく寄与するかどうかの判定))に掲げる事業を行う公益法人等において学資として支給され、又は同チに掲げる事業を行う公益法人等において助成金として支給されるなど、当該果実の全部が直接、かつ、継続して、当該公益目的事業の用に供されるかどうかにより判定することに留意する。(昭57直資2-177、昭58直資2-105、平元直資2-209、平4課資2-158、平10課資2-243、平15課資4-245、平20課資4-83により改正)
(注)
1 建物を賃貸の用に供し、当該賃貸に係る収入を公益目的事業の用に供する場合は、ただし書の適用がないことに留意する。
2 配当金などの果実が毎年定期的に生じない株式などについては、ただし書の適用がないことに留意する。
措令第25条の17第5項第2号に規定する財産等が、贈与又は遺贈があった日から2年を経過する日までの期間(当該期間内に当該贈与又は遺贈を受けた公益法人等の公益目的事業の用に直接供することが困難である場合として同条第4項に定める事情があるときは当該贈与又は遺贈があった日から国税庁長官が認める日までの期間。以下この項において同じ。)内に、当該公益法人等の当該贈与又は遺贈に係る公益目的事業の用に直接供される見込みであるかどうかの判定は、当該財産等が、当該贈与又は遺贈があった日から2年を経過する日までの期間内に、当該公益法人等の当該贈与又は遺贈に係る公益目的事業の用に直接供されることについて、例えば、建物の設計図、資金計画などその具体的計画があり、かつ、その計画の実現性があるかどうかにより行うものとする。(昭57直資2-177、昭58直資2-105、平元直資2-209、平4課資2-158、平10課資2-243、平14課資4-301、平15課資4-245、平20課資4-83により改正)