非上場株式の譲渡時の時価⑱-会社法において株式売買価格の決定を必要とする場合を整理せずに実務を行っていないか?
Q 会社法において、非上場株式の売買価格の決定が必要となるのは、どのような場合ですか?
A 会社が発行済株式を株主から買い取る場合です。
解説
会社法で株式譲渡価格の決定が必要とされるのは、主に以下の場合が想定されます。
- 株式の譲渡(第144条)
- 取得請求権付株式の取得の請求(第107条第2項第2号ホ、第166条、第167条)
- 取得条項付株式の取得(第107条第2項第3号ト、第168条〜第170条)
- 全部取得条項付種類株式の取得(第171条〜第173条の2)
- 相続人等に対する売渡しの請求(第177条)
- 特別支配株主の株式等売渡請求(第179条〜第179条の10)
- 株式の併合(第180条〜第182条の6)
- 単元未満株式の買取請求及び売渡請求(第192条〜第194条)
- 事業譲渡時の反対株主の株式買取請求(第470条)
- 組織再編時の反対株主の株式買取請求(第786条、第798条、第807条、第816条の7)
会社法における株式買取価格の決定プロセスは、会社と株主との協議により決定するか、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てを行った結果、裁判所が決定するかの2通りが主となります。会社が取得請求権付株式、取得条項付株式を導入する際に、株式の買取額又は算定方法を、予め決定しておく場合もありますが、株主の合意による導入となるため、会社側による一方的な買取価格の決定はできません。