非上場株式の公益財団への寄附⑦-措置法70条の申請書類に不備はないか?

Q上場会社の創業家は、当該上場株式の保有を個人から資産管理会社に移管しています。 また、創業家を中心として公益財団法人(公益的事業:奨学金事業)を設立しています。資産管理会社の主要株主となっている先代に相続が生じたため、相続人が当該資産管理会社株式を寄附しますが、措置法70条の申請書類について教えていただけますか?

A措置法70条の申請書類は、相続税申告書第14表と公益財団法人から発行された寄附証明書のみです。

解説
相続税申告書第14表を作成するとともに、措置法第70条第1項の贈与を受けた旨、その贈与を受けた年月日及び財産の明細並びに当該法人の当該財産の使用目的を記載した書類を公益財団法人に発行してもらい、申告書に添付して提出します(租税特別措置法施行規則第23条の3第2項)。

留意事項
相続人の所得税確定申告で寄附金控除を適用する際にも、寄附証明書が必要となります。寄附金控除の適用を受けるための寄附証明書では「寄附金の額」の記載も追加で必要となります。この点、相続税の申告期限までに寄附株式の所得税法上の時価が把握できていないことも多いと思いますので、後日(措置法40条の申請時に計算された)寄附株式の時価を記載した寄附証明書を、公益財団法人に改めて発行してもらう必要が生じます。

 

租税特別措置法第70条第5項(国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税等)
5 第一項又は第三項の規定は、これらの規定の適用を受けようとする者の当該相続又は遺贈に係る第一項に規定する申告書に、これらの規定の適用を受けようとする旨を記載し、かつ、同項の贈与又は第三項の支出をした財産の明細書その他財務省令で定める書類を添付しない場合には、適用しない。
租税特別措置法施行規則第23条の3第2項(相続税が非課税とされる専修学校の範囲等)
2 法第七十条第一項の規定の適用を受けようとする者が同条第五項に規定する申告書に添付する財務省令で定める書類は、国若しくは地方公共団体又は同条第一項に規定する政令で定める法人の同項の贈与を受けた旨、その贈与を受けた年月日及び財産の明細並びに当該法人の当該財産の使用目的を記載した書類並びに当該法人が施行令第四十条の三第一号の三又は第四号に掲げる法人である場合には、これらの号に掲げる法人に該当するものであることについて地方独立行政法人法第六条第三項に規定する設立団体又は私立学校法第四条に規定する所轄庁の証明した書類とする。
所得税法施行規則第47条の2第3項第1号イ(確定所得申告書に添付すべき書類等)
令第二百六十二条第一項第四号(確定申告書に関する書類等の提出又は提示)に規定する財務省令で定める事項は、次の各号に掲げる保険料の区分に応じ当該各号に定める事項とする。
3 令第二百六十二条第一項第六号に規定する財務省令で定める書類は、次の各号に掲げる法第七十八条第二項(寄附金控除)に規定する特定寄附金(以下この項において「特定寄附金」という。)の区分に応じ当該各号に定める書類とする。
一 特定寄附金で次号から第四号までに掲げるもの以外のもの次に掲げる書類
イ 当該特定寄附金を受領した者の受領した旨(当該受領した者が令第二百十七条各号(公益の増進に著しく寄与する法人の範囲)に掲げる法人に該当する場合には、当該特定寄附金が当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金である旨を含む。)、当該特定寄附金の額及びその受領した年月日を証する書類