株式の譲渡取引①-法人株主による株式譲渡損益の認識時点を整理せずに実務を行っていないか?
Q 法人株主が株式譲渡を行いましたが、株式譲渡損益の認識時点はいつになりますか?
A 譲渡契約日が原則となります。
解説
法人株主の株式譲渡損益の認識時点は、原則として譲渡契約日となりますので、契約日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入します(法人税法第61条の2第1項、法人税基本通達2-1-22)。
ただし、継続適用を条件として、株式譲渡損益の認識時点を引渡日(通常は対価の受取日)とすることも認められています(法人税基本通達2-1-23)。
第六十一条の二 内国法人が有価証券の譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡利益額(第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)又は譲渡損失額(同号に掲げる金額が第一号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)は、第六十二条から第六十二条の五まで(合併等による資産の譲渡)の規定の適用がある場合を除き、その譲渡に係る契約をした日(その譲渡が剰余金の配当その他の財務省令で定める事由によるものである場合には、当該剰余金の配当の効力が生ずる日その他の財務省令で定める日)の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。
法人税基本通達2-1-22(有価証券の譲渡による損益の計上時期)
(1) 証券業者等に売却の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託又は売出しの取扱いの委託をしている場合 当該委託をした有価証券の売却に関する取引が成立した日
(2) 相対取引により有価証券を売却している場合 金融商品取引法第37条の4《契約締結時等の書面の交付》に規定する書面に記載される約定日、売買契約書の締結日などの当該相対取引の約定が成立した日
(3) その有価証券の譲渡が規則第27条の3第6号から第8号まで及び第10号から第15号まで《有価証券の譲渡損益の発生する日》に掲げる事由によるものである場合 当該各号に定める日に応じた1-4-1《組織再編成の日》で定める組織再編成の日
法人税基本通達2-1-23(有価証券の譲渡による損益の計上時期の特例)
有価証券の譲渡損益の額は、原則として譲渡に係る契約の成立した日に計上しなければならないのであるが、令第119条の2第2項本文又は第3項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法》に規定する区分に応じ、法人が当該譲渡損益の額(事業年度終了の日において未引渡しとなっている有価証券に係る譲渡損益の額を除く。)をその有価証券の引渡しのあった日に計上している場合には、これを認める。(平12年課法2-7「二」により追加)
(注)
1 有価証券の取得についても、原則として取得に係る契約の成立した日に取得したものとしなければならないのであるが、その引渡しのあった日に取得したものとして経理処理をしている場合には、事業年度終了の日において未引渡しとなっている有価証券を除き、本文の譲渡の場合と同様に取り扱う。この場合、同条第1項の規定の適用についても同様とする。
2 本文及び(注)1の取扱いは、譲渡及び取得のいずれについてもこれらの取扱いを適用している場合に限り、継続適用を条件として認めるものとする。