株式の譲渡取引②-個人株主による株式譲渡収入の認識時点を整理せずに実務を行っていないか?

Q 個人株主が株式譲渡を行いましたが、譲渡収入の認識時点はいつになりますか?

A 引渡し日が原則となります。

解説
個人株主の株式譲渡に関して、収入に計上するべき時期は、原則として株式引渡し日(通常は対価の受取日)となりますので、引渡し日の属する年度の所得として申告します(措置法通達37の10・37の11共-1(1))。

ただし、納税者の選択により、収入に計上するべき時期を、契約日とすることも認められています(措置法通達37の10・37の11共-1(1))。

株式譲渡契約による譲渡以外で(組織再編や種類株式に定める権利行使など)、別途その取扱いが定められているものは、その取扱いに従います(措置法通達37の10・37の11共-1(2)〜(12))。

 

措置法通達37の10・37の11共-1(株式等に係る譲渡所得等の総収入金額の収入すべき時期)

株式等に係る譲渡所得等の総収入金額の収入すべき時期は、次の区分ごとにそれぞれに掲げるところによる。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加、平29課資3-4、課個2-20、課法10-4、課審7-14、令3課資3-5、課個2-8、課法11-25、課審7-11改正)

(1) 次の(2)から(12)まで以外の場合

株式等の引渡しがあった日による。ただし、納税者の選択により、当該株式等の譲渡に関する契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。

(2) 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第156条の24第1項《免許及び免許の申請》の規定による信用取引又は発行日取引(以下37の11-8までにおいて「信用取引等」という。)の方法による場合

当該信用取引等の決済の日による。

(3) その有する株式(以下この項において「旧株」という。)につき、その旧株を発行した法人の行った株式交換により所得税法第57条の4第1項《株式交換等に係る譲渡所得等の特例》に規定する株式交換完全親法人に対して当該旧株を譲渡した場合(同項の規定により当該旧株の譲渡がなかったものとみなされる場合を除く。)

その契約において定めたその効力を生ずる日による。

(4) 旧株につき、その旧株を発行した法人の行った株式移転により所得税法第57条の4第2項に規定する株式移転完全親法人(以下「株式移転完全親法人」という。)に対して当該旧株を譲渡した場合(同項の規定により当該旧株の譲渡がなかったものとみなされる場合を除く。)

当該株式移転完全親法人の設立登記の日による。

(5) 所得税法第57条の4第3項各号に掲げる有価証券を当該各号に定める事由により譲渡した場合(同項の規定により当該有価証券の譲渡がなかったものとみなされる場合を除く。)

イ 取得請求権付株式に係る請求権の行使による当該取得請求権付株式の譲渡については、当該請求権の行使をした日による。
ロ 取得条項付株式(取得条項付新株予約権及び取得条項付新株予約権が付された新株予約権付社債を含む。以下この項において同じ。)に係る取得事由の発生による当該取得条項付株式の譲渡については、当該取得事由が生じた日(当該取得条項付株式を発行する法人が当該取得事由の発生により当該取得条項付株式の一部を取得することとするときは、当該取得事由が生じた日と取得の対象となった株主等への当該株式を取得する旨の通知又は公告の日から2週間を経過した日のいずれか遅い日)による。
ハ 全部取得条項付種類株式に係る取得決議による当該全部取得条項付種類株式の譲渡については、当該取得決議において定めた会社が全部取得条項付種類株式を取得する日による。
ニ 新株予約権付社債に付された新株予約権の行使による当該新株予約権付社債についての社債の譲渡については、当該新株予約権を行使した日による。

(6) 措置法第37条の10第3項に規定する事由に基づき交付を受ける金銭及び金銭以外の資産(以下この項において「金銭等」という。)の額が一般株式等に係る譲渡所得等又は上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされる場合

イ 措置法第37条の10第3項第1号及び措置法令第25条の8第4項第1号に掲げる合併によるものについては、その契約において定めたその効力を生ずる日(新設合併の場合は、新設合併設立会社の設立登記の日)による。ただし、これらの日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日による。
ロ 措置法第37条の10第3項第2号に規定する分割によるものについては、その契約において定めたその効力を生ずる日(新設分割の場合は、新設分割設立会社の設立登記の日)による。ただし、これらの日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日による。
ハ 措置法第37条の10第3項第3号に規定する株式分配によるものについては、当該株式分配について定めたその効力を生ずる日による。ただし、その効力を生ずる日を定めていない場合には、当該株式分配を行う法人の社員総会その他正当な権限を有する機関の決議があった日による。
ニ 措置法第37条の10第3項第4号に規定する資本の払戻しによるものについては、その払戻しに係る剰余金の配当又は同号に規定する出資等減少分配がその効力を生ずる日による。
ホ 措置法第37条の10第3項第4号に規定する解散による残余財産の分配によるものについては、その分配開始の日による。ただし、その分配が数回に分割して行われる場合には、それぞれの分配開始の日による。
ヘ 措置法第37条の10第3項第5号に規定する自己の株式又は出資の取得によるものについては、その法人の取得の日による。
ト 措置法第37条の10第3項第6号に規定する出資の消却、出資の払戻し、社員その他の出資者の退社若しくは脱退による持分の払戻し又は株式若しくは出資を法人が取得することなく消滅させるものについては、これらの事実があった日による。
チ 措置法第37条の10第3項第7号及び措置法令第25条の8第4項第2号に掲げる組織変更によるものについては、組織変更計画において定めたその効力を生ずる日による。ただし、その効力を生ずる日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日による。
リ 措置法第37条の10第3項第8号に規定する公社債の元本の償還によるものについては、その償還の日による。この場合において、償還の日とは次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる日(ただし、買入れの方法による償還の場合は(1)の日)による。
(イ) 記名の公社債(無記名の公社債のうち、所基通36-3《振替記載等を受けた公社債》の定めによるものを含む。)の場合 償還期日
(ロ) 無記名の公社債((イ)の公社債を除く。)の場合 公社債の元本の償還により交付を受ける金銭等の交付の日
ヌ 措置法第37条の10第3項第9号に規定する分離利子公社債に係る利子の交付によるものについては、所基通36-2《利子所得の収入金額の収入すべき時期》の取扱いに準ずる。

(7) 措置法第37条の10第4項各号に規定する事由に基づき交付を受ける金銭等の額が一般株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされる場合

イ 措置法第37条の10第4項第1号に規定する上場廃止特定受益証券発行信託の終了(当該上場廃止特定受益証券発行信託の信託の併合に係るものを除く。)若しくは一部の解約又は同項第2号に規定する投資信託等の終了(当該投資信託等の信託の併合に係るものを除く。)若しくは一部の解約によるものについては、その終了又は一部の解約の日による。
ロ 措置法第37条の10第4項第1号に規定する上場廃止特定受益証券発行信託の信託の併合又は同項第2号に規定する投資信託等の信託の併合に係るものについては、当該信託の併合がその効力を生ずる日による。ただし、当該効力を生ずる日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日による。
ハ 措置法第37条の10第4項第3号に規定する特定受益証券発行信託に係る信託の分割によるものについては、当該信託の分割がその効力を生ずる日による。ただし、当該効力を生ずる日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日による。
ニ 措置法第37条の10第4項第4号に規定する社債的受益権の元本の償還によるものについては、その償還の日による。

(8) 措置法第37条の11第4項各号に規定する事由に基づき交付を受ける金銭等の額が上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされる場合

イ 措置法第37条の11第4項第1号に規定する投資信託等の終了(当該投資信託等の信託の併合に係るものを除く。)若しくは一部の解約によるものについては、その終了又は一部の解約の日による。
ロ 措置法第37条の11第4項第1号に規定する投資信託等の信託の併合に係るものについては、当該信託の併合がその効力を生ずる日による。ただし、当該効力を生ずる日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日による。
ハ 措置法第37条の11第4項第2号に規定する特定受益証券発行信託に係る信託の分割によるものについては、当該信託の分割がその効力を生ずる日による。ただし、当該効力を生ずる日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日による。
ニ 措置法第37条の11第4項第3号に規定する社債的受益権の元本の償還によるものについては、その償還の日による。

(9) 取得条項付新投資口予約権に係る取得事由の発生による当該取得条項付新投資口予約権を譲渡した場合

当該取得事由が生じた日(当該取得条項付新投資口予約権を発行する投資法人が当該取得事由の発生により当該取得条項付新投資口予約権の一部を取得することとするときは、当該取得事由が生じた日と取得の対象となった新投資口予約権者への当該取得条項付新投資口予約権を取得する旨の通知又は公告の日から2週間を経過した日のいずれか遅い日)による。

(10) 旧株につき、会社法(平成17年法律第86号)第774条の3第1項第1号《株式交付計画》に規定する株式交付親会社の行った株式交付により当該株式交付親会社に対して当該旧株(措置法第37条の13の3第1項の規定により当該旧株の譲渡がなかったものとみなされる部分を除く。)を譲渡した場合

会社法第774条の3第1項の株式交付計画(37の10・37の11共-18において「株式交付計画」という。)に定められた株式交付がその効力を生ずる日による。

(11) 措置法第37条の14の3第1項又は第2項に規定する事由に基づき一般株式等に係る譲渡所得等又は上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされる場合

措置法第37条の14の3第1項に規定する特定合併又は同条第2項に規定する特定分割型分割によるものについては、その契約において定めたその効力を生ずる日による。

(12) 措置法第37条の14の3第3項に規定する事由に基づき一般株式等に係る譲渡所得等又は上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされる場合

措置法第37条の14の3第3項に規定する特定株式分配によるものについては、当該特定株式分配について定めたその効力を生ずる日による。ただし、その効力を生ずる日を定めていない場合には、当該特定株式分配を行う法人の社員総会その他正当な権限を有する機関の決議があった日による。