株式の譲渡取引③-法人株主が発行法人に株式を譲渡した場合における株式譲渡損益の認識時点を整理せずに実務を行っていないか?

Q 法人株主が発行法人に株式譲渡を行いましたが、株式譲渡損益(みなし配当)の認識時点はいつになりますか?

A 発行法人の自己株式の取得日となります。

解説
株式譲渡損益の認識時点は、みなし配当事由が生じた日となります(法人税法施行規則第27条の3第17号)。法人株主のみなし配当の認識時点は、発行法人の自己株式の取得日となります(法人税基本通達2-1-27(5)へ)。

 

法人税法施行規則第27条の3第17号(有価証券の譲渡損益の発生する日)

第二十七条の三 法第六十一条の二第一項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する財務省令で定める事由は、次の各号に掲げる事由とし、同項に規定する財務省令で定める日は、当該各号に掲げる事由の区分に応じ当該各号に定める日とする。

一 剰余金の配当若しくは利益の配当又は剰余金の分配(分割型分割によるもの及び株式分配を除く。) これらの効力が生ずる日
二 解散による残余財産の一部の分配又は引渡し 当該分配又は引渡しの日
三 自己の株式(出資及び新株予約権を含む。)の取得の対価としての交付 その取得の日
四 出資の消却、出資の払戻し、社員その他内国法人の出資者の退社又は脱退による持分の払戻しその他株式又は出資を取得することなく消滅させることによる対価としての交付 これらの事由が生じた日
五 自己の組織変更 当該組織変更の日
六 自己を合併法人、分割承継法人、株式交換等完全親法人又は会社法第七百七十四条の三第一項第一号(株式交付計画)に規定する株式交付親会社とする合併、分割、株式交換等又は株式交付 当該合併、分割、株式交換等又は株式交付の日
七 自己を現物出資法人とする適格現物出資に該当しない現物出資(新株予約権又は社債と引換えにする給付を含む。) 当該現物出資の日
八 自己を現物分配法人とする適格株式分配に該当しない株式分配 当該株式分配の日
九 自己を令第百二十三条の十第一項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)に規定する譲受け法人又は同条第二項に規定する移転法人とする法第六十二条の八第一項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)に規定する非適格合併等に該当する事業の譲受け(第六号に掲げるものを除く。) 当該事業の譲受けの日
十 その有していた株式(出資及び新株予約権(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十七項(定義)に規定する新投資口予約権を含む。)を含む。以下第十五号までにおいて同じ。)を発行した法人を被合併法人とする合併 当該合併の日
十一 その有していた株式を発行した法人を分割法人とする分割型分割 当該分割型分割の日
十二 その有していた株式を発行した法人を現物分配法人とする株式分配 当該株式分配の日
十三 その有していた株式を発行した法人を株式交換等完全子法人とする株式交換等 当該株式交換等の日
十四 その有していた株式を発行した法人を株式移転完全子法人とする株式移転 当該株式移転の日
十五 その有していた株式を発行した法人を会社法第七百七十四条の三第一項第一号に規定する株式交付子会社とする株式交付 当該株式交付の日
十六 その有していた法第六十一条の二第十四項各号に掲げる有価証券についての当該各号に定める事由 当該事由の生じた日
十七 その有していた株式又は出資を発行した法人の法第二十四条第一項第四号から第七号まで(配当等の額とみなす金額)に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受け、又は当該株式若しくは出資を有しないこととなつたこと(当該法人の残余財産の分配を受けないことが確定したことを含む。) 当該事由が生じた日又は残余財産の分配を受けないことが確定した日

 

法人税基本通達2-1-27(剰余金の配当等の帰属の時期) 法人が他の法人(法第4条の7《受託法人等に関するこの法律の適用》の各号列記以外の部分に規定する受託法人を含む。)から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、投資信託及び投資法人に関する法律第137条《金銭の分配》の金銭の分配、資産の流動化に関する法律第115条第1項《中間配当》に規定する金銭の分配(以下「特定目的会社に係る中間配当」という。)又は法第2条第29号ロ《集団投資信託》に掲げる投資信託(以下2-1-27において「投資信託」という。)の収益の分配(以下2-1-31までにおいてこれらを「剰余金の配当等」という。)の額は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日の属する事業年度の収益とする。ただし、その剰余金の配当等の額が外国法人から受けるものである場合において、当該外国法人の本店又は主たる事務所の所在する国又は地域の剰余金の配当等に関する法令にその確定の時期につきこれと異なる定めがあるときは、当該法令に定めるところにより当該剰余金の配当等の額が確定したとされる日の属する事業年度の収益とする。(昭50年直法2-21「5」、昭55年直法2-8「六」、平3年課法2-4「三」、平5年課法2-1「一」、平11年課法2-9「二」、平12年課法2-7「二」、平12年課法2-19「三」、平14年課法2-1「七」、平19年課法2-3「九」、平19年課法2-5「二」、平27年課法2-8「三」、平29年課法2-17「七」により改正)

(1) 法第23条第1項第1号に規定する剰余金の配当若しくは利益の配当又は剰余金の分配については、次による。

イ 剰余金の配当 当該配当の効力を生ずる日

ロ 利益の配当又は剰余金の分配 当該配当又は分配をする法人の社員総会又はこれに準ずるものにおいて、当該利益の配当又は剰余金の分配に関する決議のあった日。ただし、持分会社にあっては定款で定めた日がある場合にはその日

(注) 法人が、配当落ち日に未収配当金の見積計上をしている場合であっても、当該未収配当金の額は、未確定の収益として当該配当落ち日の属する事業年度の益金の額に算入しない。次の(2)及び(3)において同じ。

(2) 同項第2号に規定する金銭の分配については、当該金銭の分配がその効力を生ずる日

(3) 特定目的会社に係る中間配当については、当該中間配当に係る取締役の決定のあった日。ただし、その決定により中間配当の請求権に関しその効力発生日として定められた日があるときは、その日

(4) 投資信託の収益の分配のうち信託の開始の時からその終了の時までの間におけるものについては、当該収益の計算期間の末日とし、投資信託の終了又は投資信託の一部の解約による収益の分配については、当該終了又は解約のあった日

(5) 法第24条《配当等の額とみなす金額》の規定によるみなし配当については、次に掲げる区分に応じ、それぞれに定める日

イ 同条第1項第1号に掲げる合併によるものについては、合併の効力を生ずる日。ただし、新設合併の場合は、新設合併設立法人の設立登記の日

ロ 同項第2号に掲げる分割型分割によるものについては、分割の効力を生ずる日。ただし、新設分割の場合は、新設分割設立法人の設立登記の日

ハ 同項第3号に掲げる株式分配のうち剰余金の配当によるものについては、当該配当の効力を生ずる日とし、同号に掲げる株式分配のうち利益の配当によるものについては、当該配当をする法人の社員総会又はこれに準ずるものにおいて、当該利益の配当に関する決議のあった日。ただし、持分会社にあっては定款で定めた日がある場合にはその日

ニ 同項第4号に掲げる資本の払戻しによるものについては、資本の払戻しに係る剰余金の配当又は法第23条第1項第2号に規定する出資等減少分配がその効力を生ずる日

ホ 法第24条第1項第4号に掲げる解散による残余財産の分配によるものについては、その分配の開始の日(その分配が数回に分割してされた場合には、それぞれの分配の開始の日)

ヘ 同項第5号に掲げる自己の株式又は出資の取得によるものについては、その取得の日

ト 同項第6号に掲げる出資の消却、出資の払戻し、社員その他法人の出資者の退社若しくは脱退による持分の払戻し又は株式若しくは出資をその発行した法人が取得することなく消滅させることによるものについては、これらの事実があった日

チ 同項第7号に掲げる組織変更によるものについては、組織変更の効力を生ずる日