株式の譲渡取引⑦-株式取得日と支配関係発生日の認識時点の違いを見逃していないか?
Q 法人株主が譲渡取引により株式を取得しましたが、支配関係(完全支配関係)が生じる日はいつになりますか?
A 引渡し日となります。
解説
株式の譲渡取引の結果、支配関係(完全支配関係)が生じる場合、その発生日は「株式の引渡しのあった日」となります(法人税基本通達1-3の2-2(1))。
法人株主は、原則として譲渡契約日に株式の取得を認識します(法人税基本通達2-1-23注1注2)ので、株式取得日と支配関係(完全支配関係)発生日が異なる場合がありえます。
法人税基本通達1-3の2-2(支配関係及び完全支配関係を有することとなった日の意義)
支配関係又は完全支配関係があるかどうかの判定における当該支配関係又は当該完全支配関係を有することとなった日とは、例えば、その有することとなった原因が次に掲げる場合には、それぞれ次に定める日となることに留意する。(平22年課法2-1「四」により追加、令3年課法2-21「一」により改正)
(1) 株式の購入 当該株式の引渡しのあった日
(2) 新たな法人の設立 当該法人の設立後最初の事業年度開始の日
(3) 1-4-1《組織再編成の日》に規定する組織再編成 同通達で定める組織再編成の日
(注) 上記(1)の株式を譲渡した法人における法第61条の2第1項《有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入》に規定する譲渡利益額又は譲渡損失額の計上は、原則として、当該株式の譲渡に係る契約の成立した日に行うことに留意する。
法人税基本通達2-1-23(有価証券の譲渡による損益の計上時期の特例)
有価証券の譲渡損益の額は、原則として譲渡に係る契約の成立した日に計上しなければならないのであるが、令第119条の2第2項本文又は第3項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法》に規定する区分に応じ、法人が当該譲渡損益の額(事業年度終了の日において未引渡しとなっている有価証券に係る譲渡損益の額を除く。)をその有価証券の引渡しのあった日に計上している場合には、これを認める。(平12年課法2-7「二」により追加)
(注)
1 有価証券の取得についても、原則として取得に係る契約の成立した日に取得したものとしなければならないのであるが、その引渡しのあった日に取得したものとして経理処理をしている場合には、事業年度終了の日において未引渡しとなっている有価証券を除き、本文の譲渡の場合と同様に取り扱う。この場合、同条第1項の規定の適用についても同様とする。
2 本文及び(注)1の取扱いは、譲渡及び取得のいずれについてもこれらの取扱いを適用している場合に限り、継続適用を条件として認めるものとする。