株式の譲渡取引⑪-種類株式の発行法人が自己株式の取得をする場合のみなし配当の計算方法を整理せずに実務を行っていないか?
Q 普通株式と配当優先株式の2種類の株式を発行する法人が、自己株式の取得をする場合のみなし配当の計算方法を教えてくれますか?
A 取得した種類株式ごとにみなし配当金額を計算します。
解説
自己株式を取得する法人が、2種類以上の株式を発行している場合には、自己株式の取得に係る株式と同一の種類の株式に係る種類資本金額をもとに、みなし配当金額を計算します(法人税法施行令第23条第1項第6号ロ、法人税法施行令第8条第1項第20号ロ)。
種類資本金額とは、その種類の株式の交付により増加する資本金の額をもとに、自己株式の取得直前までの増減を行った金額をいいます(法人税法施行令第8条第2項)。
法人税法施行令第23条第1項第6号ロ(所有株式に対応する資本金等の額又は連結個別資本金等の額の計算方法等)
第二十三条 法第二十四条第一項(配当等の額とみなす金額)に規定する株式又は出資に対応する部分の金額は、同項に規定する事由の次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める金額とする。
六 法第二十四条第一項第五号から第七号までに掲げる事由(以下この号において「自己株式の取得等」という。) 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イ 当該自己株式の取得等をした法人(以下この号において「取得等法人」という。)が一の種類の株式を発行していた法人(口数の定めがない出資を発行する法人を含む。)である場合 当該取得等法人の当該自己株式の取得等の直前の資本金等の額又は連結個別資本金等の額を当該直前の発行済株式等の総数で除し、これに法第二十四条第一項に規定する内国法人が当該直前に有していた当該取得等法人の当該自己株式の取得等に係る株式の数を乗じて計算した金額(当該直前の資本金等の額又は連結個別資本金等の額が零以下である場合には、零)
ロ 取得等法人が二以上の種類の株式を発行していた法人である場合 当該取得等法人の当該自己株式の取得等の直前の当該自己株式の取得等に係る株式と同一の種類の株式に係る種類資本金額(第八条第二項(資本金等の額)に規定する種類資本金額をいう。)を当該直前の当該種類の株式(当該取得等法人が当該直前に有していた自己の株式を除く。)の総数で除し、これに法第二十四条第一項に規定する内国法人が当該直前に有していた当該取得等法人の当該自己株式の取得等に係る当該種類の株式の数を乗じて計算した金額(当該直前の当該種類資本金額が零以下である場合には、零)
法人税法施行令第8条第1項第20号ロ(資本金等の額)
第八条 法第二条第十六号(定義)に規定する政令で定める金額は、同号に規定する法人の資本金の額又は出資金の額と、当該事業年度前の各事業年度(当該法人の当該事業年度前の各事業年度のうちに連結事業年度に該当する事業年度がある場合には、各連結事業年度の連結所得に対する法人税を課される最終の連結事業年度(以下この項において「最終連結事業年度」という。)後の各事業年度に限る。以下この項において「過去事業年度」という。)の第一号から第十二号までに掲げる金額の合計額から当該法人の過去事業年度の第十三号から第二十二号までに掲げる金額の合計額を減算した金額(当該法人の当該事業年度前の各事業年度のうちに連結事業年度に該当する事業年度がある場合には、最終連結事業年度終了の時における連結個別資本金等の額(当該終了の時における資本金の額又は出資金の額を除く。)を加算した金額)に、当該法人の当該事業年度開始の日以後の第一号から第十二号までに掲げる金額を加算し、これから当該法人の同日以後の第十三号から第二十二号までに掲げる金額を減算した金額との合計額とする。
二十 法第二十四条第一項第五号から第七号までに掲げる事由(以下この号において「自己株式の取得等」という。)により金銭その他の資産を交付した場合の取得資本金額(次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいい、当該金額が当該自己株式の取得等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額とする。)
イ 当該自己株式の取得等をした法人が一の種類の株式を発行していた法人(口数の定めがない出資を発行する法人を含む。)である場合 当該法人の当該自己株式の取得等の直前の資本金等の額を当該直前の発行済株式又は出資(自己が有する自己の株式を除く。)の総数(出資にあつては、総額)で除し、これに当該自己株式の取得等に係る株式の数(出資にあつては、金額)を乗じて計算した金額(当該直前の資本金等の額が零以下である場合には、零)
ロ 当該自己株式の取得等をした法人が二以上の種類の株式を発行していた法人である場合 当該法人の当該自己株式の取得等の直前の当該自己株式の取得等に係る株式と同一の種類の株式に係る種類資本金額を当該直前の当該種類の株式(当該法人が当該直前に有していた自己の株式を除く。)の総数で除し、これに当該自己株式の取得等に係る当該種類の株式の数を乗じて計算した金額(当該直前の当該種類資本金額が零以下である場合には、零)
2 前項第二十号ロに規定する種類資本金額とは、同号に規定する自己株式の取得等の直前までのその種類の株式の交付(次項に規定する場合における同項に規定する合併等による交付を除く。)に係る増加した資本金の額又は出資金の額及び前項第一号から第十一号までに掲げる金額の合計額から当該自己株式の取得等の直前までのその種類の株式に係る同項第十五号から第二十二号までに掲げる金額の合計額(第五項に規定する場合における前項第十五号から第十七号までに掲げる金額を除く。)を減算した金額をいう。