株式の譲渡取引⑭-法人と個人が株式を発行法人に譲渡する場合でみなし配当が生じない場合を整理せずに実務を行っていないか?

Q 法人株主と個人株主が発行法人に株式譲渡を行いましたが、みなし配当が生じいない場合を教えてくれますか?

A 主に、①上場株式が金融商品取引所等の市場での売買、②合併(被合併法人のみ)、株式併合、 全部取得条項付種類株式導入における反対株主の株式買取請求、③単元未満株式の買取請求、④端数株式の買取の場合には、みなし配当が生じません。

解説
発行法人が株式譲渡取引により自己株式を取得する場合に、その取得事由が主に以下①〜④であれば、みなし配当として取り扱いません(法人税法第24条第1項第5号括弧書き、法人税法施行令第23条第3項、所得税法第25条第1項第5号括弧書き、所得税法施行令第61条第1項)。

①上場株式が金融商品取引所等の市場で売買された場合(法人税法施行令第23条第3項第1号〜第3号、所得税法施行令第61条第1項1号〜3号)
②合併(被合併法人のみ)、株式併合、 全部取得条項付種類株式導入における反対株主の株式買取請求(第8号〜第10号)
③単元未満株式の買取請求(第9号)
④端数株式の買取(第9号〜第12号)

※その他組織再編、事業の全部の譲受けを除く

 

法人税法第24条第1項第5号(配当等の額とみなす金額)

第二十四条 法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この条において同じ。)の株主等である内国法人が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額)の合計額が当該法人の資本金等の額又は連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額は、第二十三条第一項第一号又は第二号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなす。

五 自己の株式又は出資の取得(金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得及び第六十一条の二第十四項第一号から第三号まで(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に掲げる株式又は出資の同項に規定する場合に該当する場合における取得を除く。)

 

法人税法施行令第23条第3項(所有株式に対応する資本金等の額又は連結個別資本金等の額の計算方法等)

第二十三条 法第二十四条第一項(配当等の額とみなす金額)に規定する株式又は出資に対応する部分の金額は、同項に規定する事由の次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める金額とする。

3 法第二十四条第一項第五号に規定する政令で定める取得は、次に掲げる事由による取得とする。

一 金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所(これに類するもので外国の法令に基づき設立されたものを含む。)の開設する市場における購入
二 店頭売買登録銘柄(株式で、金融商品取引法第二条第十三項に規定する認可金融商品取引業協会が、その定める規則に従い、その店頭売買につき、その売買価格を発表し、かつ、当該株式の発行法人に関する資料を公開するものとして登録したものをいう。)として登録された株式のその店頭売買による購入
三 金融商品取引法第二条第八項に規定する金融商品取引業のうち同項第十号に掲げる行為を行う者が同号の有価証券の売買の媒介、取次ぎ又は代理をする場合におけるその売買(同号ニに掲げる方法により売買価格が決定されるものを除く。)
四 事業の全部の譲受け
五 合併又は分割若しくは現物出資(適格分割若しくは適格現物出資又は事業を移転し、かつ、当該事業に係る資産に当該分割若しくは現物出資に係る分割承継法人若しくは被現物出資法人の株式が含まれている場合の当該分割若しくは現物出資に限る。)による被合併法人又は分割法人若しくは現物出資法人からの移転
六 適格分社型分割(法第二条第十二号の十一に規定する分割承継親法人の株式が交付されるものに限る。)による分割承継法人からの交付
七 法第六十一条の二第九項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する金銭等不交付株式交換(同項に規定する政令で定める関係がある法人の株式が交付されるものに限る。)による株式交換完全親法人からの交付
八 合併に反対する当該合併に係る被合併法人の株主等の買取請求に基づく買取り
九 会社法第百八十二条の四第一項(反対株主の株式買取請求)(資産の流動化に関する法律第三十八条(特定出資についての会社法の準用)又は第五十条第一項(優先出資についての会社法の準用)において準用する場合を含む。)、第百九十二条第一項(単元未満株式の買取りの請求)又は第二百三十四条第四項(一に満たない端数の処理)(会社法第二百三十五条第二項(一に満たない端数の処理)又は他の法律において準用する場合を含む。)の規定による買取り
十 法第六十一条の二第十四項第三号に規定する全部取得条項付種類株式を発行する旨の定めを設ける法第十三条第一項(事業年度の意義)に規定する定款等の変更に反対する株主等の買取請求に基づく買取り(その買取請求の時において、当該全部取得条項付種類株式の同号に定める取得決議に係る取得対価の割当てに関する事項(当該株主等に交付する当該買取りをする法人の株式の数が一に満たない端数となるものに限る。)が当該株主等に明らかにされている場合(法第六十一条の二第十四項に規定する場合に該当する場合に限る。)における当該買取りに限る。)
十一 法第六十一条の二第十四項第三号に規定する全部取得条項付種類株式に係る同号に定める取得決議(当該取得決議に係る取得の価格の決定の申立てをした者でその申立てをしないとしたならば当該取得の対価として交付されることとなる当該取得をする法人の株式の数が一に満たない端数となるものからの取得(同項に規定する場合に該当する場合における当該取得に限る。)に係る部分に限る。)
十二 会社法第百六十七条第三項(効力の発生)若しくは第二百八十三条(一に満たない端数の処理)に規定する一株に満たない端数(これに準ずるものを含む。)又は投資信託及び投資法人に関する法律第八十八条の十九(一に満たない端数の処理)に規定する一口に満たない端数に相当する部分の対価としての金銭の交付

 

所得税法第25条第1項第5号(配当等とみなす金額)

法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この項において同じ。)の株主等が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(同条第十二号の十五に規定する適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額)の合計額が当該法人の同条第十六号に規定する資本金等の額又は同条第十七号の二に規定する連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、前条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配又は金銭の分配とみなす。

五 当該法人の自己の株式又は出資の取得(金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得及び第五十七条の四第三項第一号から第三号まで(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)に掲げる株式又は出資の同項に規定する場合に該当する場合における取得を除く。)

 

所得税法施行令第61条第1項(所有株式に対応する資本金等の額又は連結個別資本金等の額の計算方法等)

第六十一条 法第二十五条第一項第五号(配当等とみなす金額)に規定する政令で定める取得は、次に掲げる事由による取得とする。

一 金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所の開設する市場(同条第八項第三号ロに規定する外国金融商品市場を含む。)における購入
二 店頭売買登録銘柄(株式(出資及び投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十四項(定義)に規定する投資口を含む。以下この項において同じ。)で、金融商品取引法第二条第十三項に規定する認可金融商品取引業協会が、その定める規則に従い、その店頭売買につき、その売買価格を発表し、かつ、当該株式の発行法人に関する資料を公開するものとして登録したものをいう。)として登録された株式のその店頭売買による購入
三 金融商品取引法第二条第八項に規定する金融商品取引業のうち同項第十号に掲げる行為を行う者が同号の有価証券の売買の媒介、取次ぎ又は代理をする場合におけるその売買(同号ニに掲げる方法により売買価格が決定されるものを除く。)
四 事業の全部の譲受け
五 合併又は分割若しくは現物出資(適格分割若しくは適格現物出資又は事業を移転し、かつ、当該事業に係る資産に当該分割若しくは現物出資に係る分割承継法人若しくは被現物出資法人の株式が含まれている場合の当該分割若しくは現物出資に限る。)による被合併法人又は分割法人若しくは現物出資法人からの移転
六 適格分社型分割(法人税法第二条第十二号の十一(定義)に規定する分割承継親法人の株式が交付されるものに限る。)による分割承継法人からの交付
七 法第五十七条の四第一項(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)に規定する株式交換(同項に規定する政令で定める関係がある法人の株式が交付されるものに限る。)による同項に規定する株式交換完全親法人からの交付
八 合併に反対する当該合併に係る被合併法人の株主等の買取請求に基づく買取り
九 会社法(平成十七年法律第八十六号)第百八十二条の四第一項(反対株主の株式買取請求)(資産の流動化に関する法律第三十八条(特定出資についての会社法の準用)又は第五十条第一項(優先出資についての会社法の準用)において準用する場合を含む。)、第百九十二条第一項(単元未満株式の買取りの請求)又は第二百三十四条第四項(一に満たない端数の処理)(会社法第二百三十五条第二項(一に満たない端数の処理)又は他の法律において準用する場合を含む。)の規定による買取り
十 法第五十七条の四第三項第三号に規定する全部取得条項付種類株式を発行する旨の定めを設ける法人税法第十三条第一項(事業年度の意義)に規定する定款等の変更に反対する株主等の買取請求に基づく買取り(その買取請求の時において、当該全部取得条項付種類株式の同号に定める取得決議に係る取得対価の割当てに関する事項(当該株主等に交付する当該買取りをする法人の株式の数が一に満たない端数となるものに限る。)が当該株主等に明らかにされている場合(法第五十七条の四第三項に規定する場合に該当する場合に限る。)における当該買取りに限る。)
十一 法第五十七条の四第三項第三号に規定する全部取得条項付種類株式に係る同号に定める取得決議(当該取得決議に係る取得の価格の決定の申立てをした者でその申立てをしないとしたならば当該取得の対価として交付されることとなる当該取得をする法人の株式の数が一に満たない端数となるものからの取得(同項に規定する場合に該当する場合における当該取得に限る。)に係る部分に限る。)
十二 会社法第百六十七条第三項(効力の発生)若しくは第二百八十三条(一に満たない端数の処理)に規定する一株に満たない端数(これに準ずるものを含む。)又は投資信託及び投資法人に関する法律第八十八条の十九(一に満たない端数の処理)に規定する一口に満たない端数に相当する部分の対価としての金銭の交付