株式の譲渡取引⑯-個人が株式を譲渡する場合で取得費に関する相続後の特例を整理せずに実務を行っていないか?
Q 個人が株式を譲渡する場合の取得費にかかる相続後の特例について教えてくれますか?
A 相続により取得した株式を、相続税の申告期限から3年以内に譲渡すれば、譲渡株式を取得するためにかかった相続税を取得費に加算できます。
解説
相続又は遺贈により財産を取得して相続税を課税された人が、相続の開始があった日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に、相続税の課税の対象となった株式を譲渡した場合においては、その譲渡した株式を取得するために支払った相続税を取得費に加算できます(租税特別措置法第39条第1項、租税特別措置法施行令第25条の16第1項)。
特例の適用を受ける場合には、譲渡者は確定申告書に、譲渡所得の金額の計算に関する明細書、相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書を添付して提出する必要があります(租税特別措置法第39条第2項、租税特別措置法施行規則第18条の18第1項)。
第三十九条 相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下この条において同じ。)による財産の取得(相続税法又は第七十条の五、第七十条の六の九、第七十条の七の三若しくは第七十条の七の七の規定により相続又は遺贈による財産の取得とみなされるものを含む。第六項において同じ。)をした個人で当該相続又は遺贈につき同法の規定による相続税額があるものが、当該相続の開始があつた日の翌日から当該相続に係る同法第二十七条第一項又は第二十九条第一項の規定による申告書(これらの申告書の提出後において同法第四条第一項に規定する事由が生じたことにより取得した資産については、当該取得に係る同法第三十一条第二項の規定による申告書。第四項第一号において「相続税申告書」という。)の提出期限(同号において「相続税申告期限」という。)の翌日以後三年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格(同法第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により当該課税価格とみなされた金額)の計算の基礎に算入された資産の譲渡(第三十一条第一項に規定する譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含む。以下この項、第四項及び第八項において同じ。)をした場合における譲渡所得に係る所得税法第三十三条第三項の規定の適用については、同項に規定する取得費は、当該取得費に相当する金額に当該相続税額のうち当該譲渡をした資産に対応する部分として政令で定めるところにより計算した金額を加算した金額とする。
第二十五条の十六 法第三十九条第一項に規定する譲渡をした資産に対応する部分として政令で定めるところにより計算した金額は、第一号に掲げる相続税額に第二号に掲げる割合を乗じて計算した金額とする。ただし、当該計算した金額が、当該資産の譲渡所得に係る収入金額から同項の規定の適用がないものとした場合の当該資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除した残額に相当する金額を超える場合には、その残額に相当する金額とし、当該収入金額が当該合計額に満たない場合には、当該計算した金額は、ないものとする。
租税特別措置法施行規則第18条の18第1項(相続財産に係る譲渡所得の課税の特例)
国税庁HP タックスアンサーNo.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm