株式の譲渡取引㉒-国外転出時課税が適用された資産を譲渡した場合の取得費を整理せずに実務を行っていないか?
Q 国外転出時課税が適用された資産を譲渡する際の取得費を教えてくれますか?
A 国外転出時の時価となります。
解説
国外転出時課税の適用を受けた資産を所得税の確定申告後に譲渡した場合には、その資産の国外転出時の価額(時価)が取得価額になります。ただし、確定申告を行なっていない場合には、対象資産を実際に取得した時の価額となります(所得税法第60条の2第4項)。
所得税法第60条の2第4項
4 国外転出の日の属する年分の所得税につき前三項(第八項(第九項において準用する場合を含む。第一号において同じ。)又は第十項の規定により適用する場合を含む。)の規定の適用を受けた個人(その相続人を含む。)が、当該国外転出の時に有していた有価証券等又は契約を締結していた未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引の譲渡(これに類するものとして政令で定めるものを含む。第八項において同じ。)又は決済をした場合における事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、次に定めるところによる。ただし、同日の属する年分の所得税につき確定申告書の提出及び決定がされていない場合における当該有価証券等、未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引、同日の属する年分の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上第一項各号、第二項各号又は前項各号に掲げる場合の区分に応じ第一項各号、第二項各号又は前項各号に定める金額が総収入金額に算入されていない有価証券等、未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引並びに第六項本文(第七項の規定により適用する場合を含む。)の規定の適用があつた有価証券等、未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引については、この限りでない。
一 その有価証券等については、第一項各号に定める金額(第八項の規定により第一項の規定の適用を受けた場合には、当該有価証券等の第八項に規定する譲渡に係る譲渡価額又は限定相続等の時における当該有価証券等の価額に相当する金額)をもつて取得したものとみなす。
二 その未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引の決済があつた場合には、当該決済によつて生じた利益の額若しくは損失の額(以下この号において「決済損益額」という。)から当該未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る第二項各号若しくは前項各号に定める利益の額に相当する金額を減算し、又は当該決済損益額に当該未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る第二項各号若しくは前項各号に定める損失の額に相当する金額を加算するものとする。