非上場株式の評価㉞-配偶者の死後に姻族関係の終了の届出がされている場合、養子が死後離縁している場合の親族関係を整理せずに実務を行なっていないか?

Q 同族株主の判定において、配偶者の死後に姻族関係の終了の届出がされている場合、養子が死後離縁している場合に、親族関係をどう考えればよいですか?

A いずれの場合も親族関係は終了しています。
課税時期に親族関係が終了している者は、親族に含めずに同族株主判定を行います。

解説
親族関係の有無は民法の規定に従います。

普通養子縁組をした親子(養親と養子)の一方が亡くなった場合、生存している側から親族としての関係を終了させることを死後離縁といいます。
家庭裁判所の許可を得て、死後離縁によって養子縁組が解消された場合には、親族関係は終了します(民法第729条、民法第811条第6項)。

夫婦の一方が亡くなり、生存している配偶者が姻族関係終了の届出をした場合には、亡くなった配偶者の血族との姻族関係は終了します(民法第728条第2項)。

したがって、課税時期において親族関係が終了している者は、同族株主の判定上も親族には含めません。

 

民法第727条(縁組による親族関係の発生)
第七百二十七条 養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。

 

民法第728条(離婚等による姻族関係の終了)
第七百二十八条

2 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。

 

民法第729条(離縁による親族関係の終了)
第七百二十九条 養子及びその配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係は、離縁によって終了する。

 

民法第811条第6項(協議上の離縁等)
第八百十一条

6 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。